『スイカゲーム』はなぜ売れた? キャラクターのかわいさから見るヒットの要因

プロジェクター発のゲーム、大躍進の軌跡

ライター /

重要なポイント

『スイカゲーム』は2021年にpopIn社のプロジェクター付きシーリングライト内蔵アプリとして登場。2024年には1000万ダウンロードを突破した。シンプルなルールと中毒性で人気を博したが、その要因のひとつには"キャラクターのかわいさと多様性"という側面も少なからずあるはずだ。

2021年12月9日、ニンテンドーeショップに"インディゲーム界のダークホース"とも言うべき1本のダウンロード専売ソフトが舞い降りた。言わずと知れた『スイカゲーム』である。その起源がpopIn株式会社(現・Aladdin X)発売のプロジェクター付きシーリングライト"popIn Aladdin(現・Aladdin Xシリーズ)"の内蔵アプリとして(2021年4月14日に)配信されたゲームであることは、すでに有名かもしれない。

2024年1月にはiOS版、同年4月11日にはAndroid版も配信され、公式グッズや攻略ガイドブックといった数々の関連商品も数多くリリース。そして、2024年6月28日には、"累計1000万ダウンロード"を突破した。

そんな『スイカゲーム』が大躍進を遂げた要因を考えてみる。

「もう1回!」が無限ループするナゾの中毒性

『スイカゲーム』の基本ルールは、いたってシンプルだ。雲のような見た目をした"ポッピィー"を左右に動かし、フルーツを箱のなかに1個ずつ落としていく。箱のなかで同じフルーツが2個くっつくと"シンカ"し、別のフルーツへと姿を変える。この流れを繰り返し、最終的に本ゲームタイトルにもなっている"スイカ"を作ることがひとつの目標となっている(ちなみに、スイカを2個くっつけると消える)。そして、箱からフルーツがはみ出ると容赦なくゲームオーバーに。この万人が理解しやすい操作性やルールは、『スイカゲーム』が愛される要因のひとつではないだろうか。

『スイカゲーム』

© 2021 Aladdin X Inc.

ルールは簡単でも、スイカまで"シンカ"させるのは意外と難しい。なぜなら、フルーツは"シンカ"すればするほどサイズが大きくなり、対の個体を作るまでの手順も多くなるからだ。たとえば中盤あたりには大きめの"もも"や"パイナップル"が箱内のスペースを専有し、プレイヤーは「隙間に落としたいのだが"もも"や"パイナップル"がジャマ……!」と歯がゆい思いをすることになる。さらに箱の上部ギリギリでフルーツを"シンカ"させると、物理演算のワナとでも言わんばかりの"暴発"で、フルーツが外に吹っ飛んで(箱から飛び出て)ゲームオーバーになることも。そんな理不尽に繰り返しさらされても、「せめてスイカを作るまでは」と諦められないナゾの中毒性をもつのが、『スイカゲーム』なのである。

日本で急激に『スイカゲーム』が流行しはじめたのは、YouTubeなどの動画プラットフォームの影響が大きいだろう。実際、公式サイトでも「動画プラットフォームにてゲーム実況・配信多数!」と紹介されているほどだ。先述のとおりゲーム性がシンプルであるため視聴者側にもゲームの状況が伝わりやすく、性別や年齢を問わずに楽しめる点も大きいと思われる。また、興味をもったユーザーが気軽に購入できるほどにソフトの価格が安かったことも、人気の普及に拍車をかけたとみられる(2024年7月時点でNintendo Swich版は240円(税込))。

そしてもうひとつ、『スイカゲーム』のヒット要因として忘れてはならない要素がある。それは「キャラクター(ポッピィー&フルーツの総称)がかわいい!」……ということだ。

公式がSNSで切実な訴えも……個性的なキャラクターたち

『スイカゲーム』に登場するキャラクターは、全部で12種類(期間限定の"見た目違い"などは除く)。本来ならすべてを紹介&コメントしたいところだが、今回は筆者の独断と偏見でいくつかをピックアップさせていただいた。推しのキャラクターが入っていないかたは、ゴメンナサイ。

ポッピィー

ふんわりもふもふ、やわらかそうなボディ。つぶらな瞳にウィンク。トドメのピンクほっぺで"役満"確定といったところだろうか。雲と名言はされていないが、似たようなモチーフのキャラクターで有名なものはそれほど多くなく、シンプルな見た目ながらも個性を感じさせる。本記事を読んでいるかたのうち、何パーセントが"ポッピィー"という名前を初めて知ったかはちょっと気になるところ……。ちなみに、「~だぽ」としゃべる(公式Xより)。

『スイカゲーム』のキャラクター、ポッピィー。

© 2021 Aladdin X Inc.

さくらんぼ

じつは写真のようにキラキラした目をしているのだが、ゲーム画面で見た場合は、その小ささゆえに薄目でニヤけているかのように見える(そう思っていた人は、おそらく少なくないはず)。真っ赤な全身にお似合いの照れた感じがキュートであり、末っ子気質で甘え上手という点も母性本能をくすぐる。というか、小さい時点でかわいいのでもはや出来レースである(?)。

『スイカゲーム』のキャラクター、さくらんぼ。

© 2021 Aladdin X Inc.

ぶどう

少し太めに塗りつぶされたツリ目と、「テヘペロ☆」とでも言わんばかりにちょろっと飛び出た舌が特徴の小悪魔系。他のフルーツからは基本的に温厚なイメージを受けるなかで、このぶどうはある意味で異端である。だが、それがいい。ぶどうのヘタはイラストだと"T"のように表現されることが多いが、『スイカゲーム』のそれは青々とした葉っぱになっており、どこか幼い印象も。

『スイカゲーム』のキャラクター、ぶどう。

© 2021 Aladdin X Inc.

かき

「え? "みかん"じゃなかったの?」と思ったそこのアナタ。気持ちは分かる。しかし、おそらく"みかん"ならば左上のテカりがなく、そばかすのようなツブツブが施されていたはずである。ちなみに、Aladdin Xの公式Xではユーザーに対して「かきです!!!」と強く訴えかけていた。気の毒なことに、よほど配信内で"みかん"と連呼されていたのであろう……。説明文によると別にむすっとしているわけではないらしいが、これからはご機嫌を損ねないように気をつけよう。

『スイカゲーム』のキャラクター、柿。

© 2021 Aladdin X Inc.

SNSで、みかんではなく柿だと訴える、公式Xアカウント。

もも

他のキャラクターと比べると、配色やパーツはシンプル。しかし、まるっとしたフォルムに鮮やかなピンク、そして猫のようなラブリーな顔には甘い果肉もさることながら、かわいさも詰まっているとしか言いようがない。ただ、箱のなかではそこそこスペースをとるので、『スイカゲーム』をやり込みはじめると"可愛さ余って憎さが100倍"となる可能性もはらんでいる。

『スイカゲーム』のキャラクター、桃。

© 2021 Aladdin X Inc.

スイカ

タイトルにその名を冠する主役と思いきや、一筋縄では出会えないレアキャラクター。過去に(ゲーム内で)開催されたハロウィンイベントでは、その姿がカボチャ(バージョン)になったこともある。

『スイカゲーム』のキャラクター、スイカ。

© 2021 Aladdin X Inc.

『スイカゲーム』のゲーム内で行われたハロウィンイベント
© 2021 Aladdin X Inc.

ハロウィンイベントでは、ほかのキャラクターの姿も一部変更された。

かわいいは正義

冒頭で述べたように、ゲームとしての面白さや中毒性は『スイカゲーム』の人気を確固たるものとした要因として大きいだろう。一方で、ちまたで大ブームの『ちいかわ』や、長きにわたって愛されている"サンリオ"キャラのようにシンプルながらもかわいらしく、多くの人に受け入れられやすい"ゆるい"キャラクターのデザインもまた、ひとつの柱になっているように思う。

ちなみに、過去には"サンリオ"が『スイカゲーム』のデザインプロデュースを手掛けるなど、両者の親和性の高さもその裏付けと言えるだろう(サンリオのタッチで描かれた『スイカゲーム』のキャラクターたちLINEスタンプで登場した)。

また、(ゲーム内の)ハロウィンイベントなどで見た目が異なるキャラクターを登場させる遊び心はプレイヤーを楽しませつつも、「こんな珍しいキャラが登場してる!」という情報の拡散に一役買っていそうだ。本稿では、一部のキャラクターだけをピックアップしてご紹介したが、あらためて「かわいい!」と感じた人はきっと多いに違いない(願望)。

"かわいい"は、いつの時代も正義なのである!

© 2021 Aladdin X Inc.

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