
重要なポイント
個人ゲーム開発者のナカムラ氏は、理想の『テトリス』続編を追い求め、独学でPC用パズルRPG『デルタリス』を制作した。
本作は三角形ブロックを採用し、意図的に隙間を作って特殊ブロックを生み出す"デルタフォース"や、敵と戦うバトル要素が特徴だ。
では、ナカムラ氏はなぜ、パズルに"創造する"快感を融合させ、現代的に進化させた本作を開発したのだろうか?
"落ち物パズル"に、次の進化はあるのか。この問いに真正面から挑んだクリエイターがいる。
それが、PC(Steam)向けの新作パズルRPG『デルタリス(DELTARIS)』をひとりで作り上げた、個人ゲーム開発者・ナカムラ氏だ。
ファミコン版・ゲームボーイ版『テトリス』に心を奪われた少年(ナカムラ氏)は、大人になっても"自分の理想の続編"を求め続けたものの、"本当に自分が遊びたい落ち物パズルは、どこにもなかった"。
「ゲームボーイ版やファミコン版『テトリス』の続編を、自分の手で作りたい」……そんな渇望が、ついに彼を創作へと突き動かすこととなる。
──こうして生まれた『デルタリス』は、四角ではなく "三角形のブロック"を採用し、意図的に"隙間を作る"ことで、特殊ブロック"デルタフォース"を生み出すという革新的なシステムを搭載している。
ラインを消すだけでなく、"創造する"快感がある。まさに落ち物パズルの常識を覆す作品だ。
さらに、デルタフォースを含むラインを消すことで敵に大ダメージを与える"デルタアタック"が発動し、HP(ヒットポイント)を持った敵キャラクターとのバトル要素やストーリーを楽しめるRPG的な要素も兼ね備えた作りになっている。
本記事では、完全独学&半年の開発で"令和の『テトリス』"を目指した、その制作の裏側に迫る。
ナカムラ氏が語る、"落ち物パズルをもう一度進化させるための挑戦"とは?
| ナカムラ氏<プロフィール> |
| 現在、薬剤師として活動するかたわら、個人で『デルタリス』を開発。過去には、音楽プロデューサーとして大手企業などで100作以上のアニメ・ゲーム音楽に携わってきた経験を持つ。
音楽制作で培った構成力や、アニメ現場で磨いた表現感覚など、"人を楽しませる"発想が『デルタリス』の世界観やゲームテンポにも活かされている。 |
"求める続編が出ないなら、もう自分で作るしかない"
──『デルタリス』を作ろうと思ったきっかけは?
ナカムラ ファミコン版やゲームボーイ版の『テトリス』が大好きで、当時からずっと「この系譜の続編をもっと遊びたい」と思っていました。
ただ、世に出てくるのは『ハットリス』や『ボンブリス』のような派生系や、色合わせを主体とした『ぷよぷよ』や『コラムス』など……もちろんどれも名作なのですが、私が求めていた"ブロックを美しく積み上げる快感"とは少し違っていたんです。
そんななか、たまたまひさしぶりに、私が当時ハマっていたゲームボーイ版『グローカルヘキサイト』を遊んだときに、「やっぱり自分の理想の落ち物パズルが欲しい」という思いが再燃したんです。
そこで"もう自分で作るしかない"と決心したのが始まりです。
『デルタリス』のアイデア自体は2025年2月ごろ、お風呂で突然ひらめきました。頭のなかでブロックを動かしてみたら、どんどん面白くなっていくんです。「これは絶対に形にしなければいけない」と確信した瞬間でした。

1998年発売、ゲームボーイ版(ゲームボーイカラー対応)のパズルゲーム『グローカルヘキサイト 』。さまざまな形のコマをボード上に交互に置いて陣地を取り合う。
完全独学、四角形ではなく"三角形"──ここからすべてが始まった
──開発期間はどれくらいですか?
ナカムラ ゲーム制作は完全に初心者で、知識は中学生のころに独学で覚えたBASIC言語だけでした。
そこからプログラム言語のPythonを調べはじめ、2025年5月に本格的にコーディングを開始。ゲームとして形になったのは同年10月なので、およそ半年ですね。
ひとりで全部作るのは大変でしたが、ずっと楽しかったです。
──三角形のブロックを採用した理由は?
ナカムラ 四角形のブロックを使った"『テトリス』系"の派生作品は山ほどありますが、遊びの本質はどれも大きくは変わりません。
そこで『テトリス』はもちろんのこと、"穴"の概念が特徴的な『グローカルヘキサイト』、さらにゲームボーイアドバンスの『Dialhex(ダイアルヘックス)』をヒントに、"三角形でブロックを再構築する"という発想に至りました。
三角形にすることで、ラインを揃えるための工夫が一気に広がるんです。"どう積み上げるか"の自由度も増し、プレイフィールも四角形とはまったく違うものになります。
本作の核──"隙間が武器になる"独自のシステム


──『デルタリス』の特徴的なシステム"デルタフォース"とは?
ナカムラ 三角形ブロックを積むと、どうしても"隙間"が生まれやすい構造になります。通常ならば、これは"ミス"になりますが、私は逆に「隙間を意図的に作ったら、その形に応じたブロックを自動生成させる」という発想に至りました。
これが"デルタフォース"です。
隙間の形が条件に合うと、そこにカチッと光るようにブロックが生成され、最大10ラインまで一気に消去することができます。これにより"巨大なデルタフォース"を狙う遊びかたが生まれます。
本作の"LESSONモード"でも説明していますが、"黄色い影"を見ておけば自然と学べるように設計しています。

上手に積めば、巨大なデルタフォースを生み出すことができる。
『テトリス』に、次々と敵を倒す目的があればもっと楽しい!

画面の右には敵キャラクターやHP、戦闘ログが表示。デルタアタックで敵のHPを削っていく。
──バトル要素を入れた理由は?
ナカムラ 私は『LINE ポコパン』のテンポよく敵を倒していく感覚が大好きで、落ち物パズルにこの爽快感を融合させたいという思いがあったんです。
『デルタリス』では、デルタフォースを含むラインを消すことで"デルタアタック"が発動し、敵にダメージを与えることができます。
これにより緊張感と爽快感が一体になった、とても気持ちの良いループが生まれるんです。
また"巨大なデルタフォースを狙う=大ダメージを狙う"という構造は、自然とプレイヤーに工夫を促し、「創造するパズル」という本作のテーマを強く体験できるようにしています。
──制作で意識していたポイントはありますか?
ナカムラ 私のなかで、パズルゲームが面白くなる条件というものがあります。それが以下の3つです。
- 見ているだけでルールが直感的に分かる
- 他人のプレイを見ていると自分も遊びたくなる
- 「自分ならこう解く」と思える
複雑なパズルは、遊ぶまえのハードルが高いと感じていました。そこで『デルタリス』では、基本は『テトリス』と同じ、という入口にしつつ、画面もシンプルにしました。
敵を倒せばクリア、という明快な構造にしたのも、直感性を重視した結果です。
もっとも苦労したのは、数学的な"自動生成"の仕組み

ストーリーモードでは、主人公デルルの物語を体験しながらゲームを進めていく。
──制作で大変だった点は?
ナカムラ "デルタフォース"を生成する数式です。どんな"隙間"のときに自動生成されるかを数学的に整理し、プログラムに落とし込む作業は本当に大変でした。
ただ私は数学が好きなので、苦労しつつも楽しめた部分でもあります。2P対戦の"お邪魔ブロック"の挙動もすべて自作の数式で動いています。
なお『デルタリス』は、単なる『テトリス』のオマージュではありません。あらゆる部分を現代的に再構築した、"令和の落ち物パズル"に仕上がっていると自負しています。
──最後にひとこと
ナカムラ 最初は"どのようにブロックを積めばいいのか"慣れるまで少し難しく感じるかもしれません。しかし"巨大なデルタフォース"を自分の手で作れるようになると、このゲームの真の気持ちよさに気づいてもらえるはずです。
現在はPC版のみですが、ゆくゆくは移植や続編にもつなげられたらと思っています。
ぜひ多くのかたに遊んでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

モード選択画面。ストーリーモードやパズルモードなど多彩なモードで楽しめるようになっている。
あらためてとなるが、『デルタリス』は、『テトリス』を愛した開発者ナカムラ氏が、その魅力を現代に活かしつつ新要素を加えた作品だ。
三角形ブロックの解析やデルタフォース生成の数式、対戦モードの挙動まで、すべて氏の手による独力設計である。
ブロックを積む快感や消える爽快感、操作のリズムなど古典的魅力を残しつつ、隙間を作って攻撃につなげる独自システムで、"創造する"新体験を提供している。
"落ち物パズル×RPG"という独自ジャンルや充実のやりこみ要素まで、細部に至るまで開発者のこだわりが貫かれており、落ち物パズルに新しい刺激を求める人や、かつての『テトリス』のワクワクをもう一度味わいたい人に最適だろう。
そんな、落ち物パズルの世界にふたたび進化をもたらす瞬間を、ぜひ自分の手で体験してみてはいかがだろうか。
◆『デルタリス』製品情報
配信日:2025年12月5日(金)発売
価格:1480円[税込]
対応機種:PC(Steam)
ジャンル:パズルRPG
プレイ人数:1〜2人(ローカル対戦対応)
発売・開発元:XEXTRA JAPAN(ゼクストラ ジャパン)
対応言語:日本語・英語・中国語(簡体字/繁体字)・韓国語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語

