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2025年8月3日(日)、東京・浜松町にある産業貿易センターで開催されたインディーゲームイベント、"東京ゲームダンジョン9"の現地会場レポート。約300以上ものタイトルが出展された会場の熱狂ぶりを、筆者が気になったゲームのレビューとともにお届けします!
2025年8月3日(日)、東京・浜松町にある"都立産業貿易センター浜松町館"にて、インディーゲームを中心としたクリエイターが一堂に会するイベント"東京ゲームダンジョン"(以下、ゲムダン)が開催されました。
本イベントは、ゲーム開発者とプレイヤーの距離が極端に近い"ダンジョン"のような密度と熱量を持った展示会。
2021年の初開催以来、年に数回のペースで継続的に実施されており、今回で9回目を迎え、いまや毎年京都で開催されるインディ―ゲームイベント"BitSummit"と並ぶ注目イベントへと成長を遂げました。
そんな"ゲムダン"の特徴は、"出展にあたって作品審査がなく、出展料も安価"であること。そのためか、出展ジャンルの幅がとにかく広いのも大きな特徴です。
ピコピコ系のドットスタイルのゲームから、本格的な3Dゲーム、実験的なノベル作品、アナログゲームや道具を使って遊ぶゲームまでが一堂に会するこのインディ―ゲームの"迷宮(ダンジョン)"では、どのブースも個性と情熱に満ちています。
前回(第8回)が同センターの1フロア開催だったのに対して、今回は、3階と4階の2フロア構成で、しかも出展数は前回の約2倍となる合計300以上!
会場には試遊を楽しむ参加者、開発者と談笑するファン、ひとり真剣にメモを取る学生、機材を背負った実況者など、バラエティー豊かな来場者で賑わっていました。
本記事では、そんな"ゲムダン9"の会場レポートをお届けします!
入場受付および人気のゲームの試遊など、会場のいたるところで長蛇の列!



本イベントの一般チケット購入者の開場は12時(ビジネスチケット購入者の開場は11時)から。
開場直後となる12時には、すでに会場まえに長蛇の列ができており、筆者も入場までにしばらく待つことになりました。
会場内に入ってからも人の波は途絶えず、とくに人気タイトルや話題作のブースには終日行列ができ、なかにはブースの外まで列が伸びている作品も見られました。
なかでも筆者が目にした最長の行列は、わくわくゲームズさんのブース。会場の外まで列が続き、警備員が「まだ最低でも1時間以上はかかると思います!」と来場者に声をかけていたのが印象的でした。
来場者の熱量の高さを肌で感じる、まさに"ダンジョン"の名にふさわしい密度と熱気に包まれたイベントです。
王道ジャンルが勢ぞろい! アクションからRPGまで遊びごたえ満点の3階フロア



前述したとおり、今回の開催は、産業貿易センターの3階と4階の2フロア構成になっており、3階フロアは、いわば"王道インディー"が集結した作品で埋め尽くされていました。
出展作品のジャンルも幅広く、アクション、RPG、ローグライク、アドベンチャーなど、いわゆる"ゲームらしいゲーム"が多数並んでおり、なかにはSteamやNintendo Switch向けにリリースされているタイトルのほか、開発中の作品も多く見られ、実際の販売ページへと誘導する展示も数多く並んでいました。
各ブースのポスターやチラシ、デモ映像にも凝ったものが多く、魅せる展示としても完成度が高い印象。また、企業ブースやチーム開発による展示もあり、個人ブースとはまた異なる"プロ感"のある演出が目を引いていました。
体験時間が長めなゲームや、がっつりやり込み要素のある作品も数多く、ブースまえにはつねに一定の人だかりができていたほど。
また、フロア中央には大きなホワイトボードが設置されており、開発者が自身の出展しているゲームの宣伝になるような絵を残したり、来場者が自由にイラストやメッセージを描き込めるスペースとして賑わっていました。
アナログな交流がゲームイベントのなかに溶け込んでいる様子が印象的でした。
全体的な印象として、3階は完成度と遊び応えを兼ね備えたゲームの見本市といった感じで、インディーゲームの"いま"を一望できるフロアとなっていました。
創作の熱と自由が溢れる実験の数々! 個性派インディーが集まった4階フロア



4階フロアは、より実験的で個人色の強い作品が集まる空間でした。
机1台のコンパクトな展示が多く、開発者が自ら説明をしたり、プレイヤーの反応を観察したりと、アットホームなやりとりが随所で見られました。雰囲気としては、まるで文化祭の教室を巡っているかのような感覚。作品に込められた想いや制作の苦労を直接聞ける点は、こうした小規模展示ならではの魅力です。
ジャンルも多岐にわたり、直感的に楽しめるリズムアクションや、思わずうなるようなギミックが仕込まれたパズルゲーム、身体を使って遊ぶ体験型の作品などが並んでいました。
どれも作者の"やりたいこと"や"好き"がダイレクトに伝わってくる内容で、遊ぶというよりも"創作に触れる"といった印象さえあります。
また、一角に設けられた物販コーナーも盛況で、ゲームのTシャツやグッズを手に取る来場者の姿が絶えず見られ、思い思いに"ダンジョンの記念"を持ち帰っている様子が印象的でした。
3階が商業リリースを見据えた"完成されたインディー"の場だとすれば、4階は"挑戦と自由のフロア"。アイデアの原石と、作り手の熱意がむき出しで詰まった空間でした。
筆者が気になった2作品をピックアップ!
本イベントに出展されたゲームのなかから、筆者が個人的に気になったタイトル2作品をご紹介します。
じわじわ迫る緊張感、AMATA Gamesの挑戦作『新宿異変』




『新宿異変』は、インディゲームパブリッシャー・AMATA Gamesによる都市ホラーアドベンチャーゲームです。夜の新宿に突如"異変"が起こり、プレイヤーは逃げ場のない街で"何か"に巻き込まれていきます。
操作は基本的に、テキストを読み進めて選択肢を選ぶというシンプルな構成。しかし、読み進めるうちにじわじわと迫ってくる不穏な空気と、都市の雑踏をリアルに描いた演出が非常に印象的でした。
本作では、異変を発見すると"近づく"か"写真を撮る"かの選択を迫られます。適切な距離で写真を撮ることが正解なのですが、離れすぎると上手く撮れず、逆に近づきすぎると襲われてゲームオーバーになるという、絶妙な難易度設定になっていました。
筆者も何度か挑戦してみましたが、ノーヒントでは一度も成功せず。近くで見ていたブース担当のかたに話を伺うと、「現在はまだ難易度を調整中なので、ぜひ製品版で異変の正体を確かめてみてください」とのことでした。
異変の正体については製品版までお預けとなりましたが、遭遇から撮影までの"間"や緊張感は、本作ならではの体験です。
完成版でどのように仕上がってくるのか、いまから楽しみです。
絵本のようで、どこか切ない『Primland The Magus』が紡ぐ幻想譚




次に紹介する『Primland The Magus -プリムランド ザ メイガス-』は個人開発者のD.S.W. GAMEsによる作品です。
黒衣の少女・マグスを操作し、敵がはびこる島を探索していく、メトロイドヴァニア要素を含む横スクロールアクションゲームとなっています。
ゲーム全体に漂うやわらかな色彩のドット絵や幻想的なBGM、そしてどこか懐かしさを感じるインターフェースが印象的で、プレイ中はまるで絵本に入り込んだような没入感がありました。
今回筆者が体験したのは、チュートリアルにあたるステージ。丁寧に作られており、進行に応じて自然に新しいアクションへと誘導され、操作にもすぐに馴染むことができました。
また、剣を使った攻撃によって属性が"炎"と"氷"で切り替わるステージギミックなども用意されており、ただ進むだけではなく、ちょっとしたパズル的な仕掛けも楽しめる適度な歯応えのある構成になっています。
全体として、どこかノスタルジックでありながら、確かに新しさを感じさせてくれる、そんな体験を提供してくれる作品でした。
見せるためじゃなく、作るために──"東京ゲームダンジョン9”で感じた創作の原点!

時間が経つにつれ、賑やかになる落書きボード。
2025年7月18日(金)~20日(日)にかけて京都・みやこめっせで開催された"BitSummit the 13th"は、国内外のパブリッシャーや注目クリエイターが集う商業系インディーの一大拠点でした。
一方で、今回の"ゲムダン9"は、より小規模ながら個人の熱意や独創性に真正面から向き合える場所だったと感じます。
展示の形式や規模は簡素で、設備面での派手さはないかもしれません。けれども、そのぶんだけ開発者の声がダイレクトに届く。1台のノートPCに込められた想いや、手描きのポスター1枚に宿る世界観、そのすべてが観客との対話を生み出していました。
会場を歩くなかで何度も感じたのは、ジャンルもスキルも超えて、ただ"作りたい"という気持ちが作品になっているということ。そこにはプロもアマもなく、ゲームというメディアの可能性が、まるでパッチワークのように広がっていました。
商業イベントでは得がたい、"創作の原点"と出会える場所。"東京ゲームダンジョン"は、そんなかけがえのない空間です。
次回のダンジョンが、どんな冒険と出会いを用意してくれるのか。いまからすでに楽しみでなりません。



