Ascending Inferno

【BitSummit the 13th】かわいい地縛霊のチカラで運命を書き換えろ! 人生介入型見守りゲーム『事故物件だよ!うらみちゃん』

BitSummit the13th出展作品のプレイレポート

ライター /

重要なポイント

2025年7月18日(金)~20日(日)にかけて、京都・みやこめっせ(京都市勧業館)で開催されたインディーゲームイベント、"BitSummit the 13th"(以下、ビットサミット13)。そのイベントに出展された『事故物件だよ!うらみちゃん』のプレイレポート。地縛霊の"うらみちゃん"を操作して殺人事件の被害者を救い、アパートの解体を食い止めろ!

みなさんは、"地縛霊"という言葉を耳にしたことがあるだろうか? 一説によれば、それは事故や事件で命を落とした人が強い恨みや未練をもったまま、特定の場所や物から離れられなくなった状態(霊)を指す……と言われている。怖いですね~、ホラーですね~……。

本記事で紹介する『事故物件だよ!うらみちゃん』 は、そんな地縛霊が主人公のゲームだ。開発を手がけるのは、"コンパクト"をテーマに、挑戦的な箱庭ゲームを制作するインディーチーム"MinimumBox"

事故物件だよ!うらみちゃんのブース
©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

『事故物件だよ!うらみちゃん』のブース。

プレイヤーは地縛霊の"うらみちゃん"を操作し、とあるアパートの一室で殺害された住人"野呂井さん"の未来を変えるために奔走する。Steamの説明文によれば、ジャンルは"人生介入型見守りゲーム"とのことだ。"見守りゲーム"はともかく、"人生介入型"というワードのパンチ力よ!! これはぜひチェックしなければ! ということで、意気揚々とプレイさせてもらった。

アパート取り壊し=ゲームオーバーの大ピンチ

ゲームをスタートすると、プロローグが始まった。

時は1988年12月31日、午後9時。都内にあるアパートの一室で、女性が遺体で発見された。被害者の名前は"野呂井(のろい)ユカリ"、28歳の会社員だ。その現場に突如、少女のような姿の霊体が出現した。

「?」と状況を飲み込めていない彼女は"野呂井さん"の遺体に近づくと、「お…おばけった!!」と動揺を見せる。直後、今度は小さな鬼火が現れ、少女の霊体に話しかけてきた。その会話のなかで、さまざまな事実が明らかになる。

状況を説明するおねびぃ

©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

まず、今回の殺人事件が原因で、このアパートは取り壊しの危機に瀕しているらしい。これは、その場所に紐づく霊の消滅も意味する。すでに死んでいる地縛霊ではあるが、文字通りの死活問題というわけだ。

次に、少女の霊体はこの部屋で何人もの住人を恐怖に陥れた伝説の地縛霊で、名を"うらみちゃん"というようだ。いっぽう、鬼火の名前は"おねびぃ"。ざっくり言えば、"うらみちゃん"のサポーターである。

うらみちゃんの霊レベルが最低になっていることを告げるおねびぃ

©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

"おねびぃ"は"うらみちゃん"のチカラで異変を起こし、アパートの解体にやってきた人間を脅して追い返すことを提案するも、それは不可能だった。なぜなら、"うらみちゃん"が何らかの原因で記憶を失っており、さらに人間をどれだけ恐怖に陥れられるかの指標となる、"霊レベル"も最低になっていたからだ。

野呂井さんに協力を求めるおねびぃ

©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

"霊レベル"は生者に恐怖を与えることで上昇できるが、地縛霊はその場所から動けないため、解体までに誰もアパートを訪れなければ、そのままゲームオーバーとなる。そこで"おねびぃ"は、"野呂井さん"のチカラを借りようとする。

すでに事切れている"野呂井さん"ではあるが、"おねびぃ"によれば、時間の概念が存在しない地縛霊は、ある条件で("野呂井さん"が霊のことを意識していたタイミングなら)時間を遡ることができるという。つまり、"野呂井さん"がまだ生きていた日にタイムスリップができるのである。

"野呂井さん"を驚かせて"霊レベル"を上げれば、彼女をこのアパートから追い出し、取り壊しの未来を避けられるかもしれない……。淡い希望を胸に、"うらみちゃん"と"おねびぃ"のふたりは、"野呂井さん"の部屋にあったカレンダーから12月1日へ戻ってゆく。

1日ごとの小さな変化が、のちに大きな変化をもたらす!?

操作方法
©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

操作方法もシンプルで、遊びやすい。

なんとか無事に、時間を遡れたふたり。以降は、1日を1ステージとしてゲームが進む仕組みだった。

①12月1日

仕事から帰ってきて疲れている野呂井さん
©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

遅くまでお仕事、お疲れさまです……。

ふたりが到着した時刻は午後9時で、ちょうど"野呂井さん"が仕事から帰ってきたタイミングだった。ウワサから少しばかり霊の存在を気にかける"野呂井さん"だったが、"うらみちゃん"や"おねびぃ"にはまったく気が付かない。

そこで"おねびぃ"は、部屋のモノを使った"違和感"の演出を提案。具体的には、まず"うらみちゃん"をコントローラーで操作し、"押し入れ"、"電話"、"玄関ドア"の3ヵ所にそれぞれ移動させる。その後、ボタンを押してノックし、「コンコン」という"ラップ音"を出して、"野呂井さん"に気づいてもらおうというのだ。

この操作パートは"ゴーストタイム"と呼ばれる。つねに時間が流れており、登場人物はそのなかでさまざまな行動を取る。たとえば、12月1日の"野呂井さん"はテレビを観たり、スキンケアをしたり、夜食を食べたり、トイレに行ったりする。

この日の目的は「"野呂井さん"に"違和感"を覚えさせること」なわけだが、彼女は自身の行動に集中しているときは"ラップ音"に気づかない。つまり、"うらみちゃん"にいつイタズラ(?)させるべきなのかどうか、しっかりとタイミングを見計らう必要がある。

この半リアルタイムでのゲーム進行が、『事故物件だよ!うらみちゃん』の大きな魅力のひとつであり、本当に作り込みがスゴいと感じたところだ。

"ゴーストタイム"が終わって"野呂井さん"が就寝すると、その日の活動は終了となる。そして、各ステージ(日付)に定められた条件を満たしていれば、結果発表の画面で該当の項目にチェックマークがつく。12月1日でやるべきことを終えると、ふたりが12月31日に戻ってきて、新たに12月2日に戻れるようになっていた(12月1日のやり直しも可能)。

野呂井さんの日記
©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

"野呂井さん"の日記。攻略のうえで重要なヒントも得られる?

また、"野呂井さん"は日記をつけており、12月31日の部屋ではそれを読むことができる。ステージが進むと日記のページが増えるほか、製品版では"うらみちゃん"の行動しだいで日記の内容が変化し、それをもとに次の行動を考える要素も楽しめるようだ。

②12月2日

この日もクタクタで仕事から帰宅した"野呂井さん"。1日目の"うらみちゃん"の活躍(?)により、ほんの少しだけ違和感を覚えたようだ。シャワーを浴びて一息ついた彼女は、心の栄養分であるビールに手を伸ばす。しかしタイミング悪く、苦手な後輩の"桜井もも"から電話がかかってきてしまった。

「このままでは長電話のせいでビールがマズくなり、"野呂井さん"が人生に絶望して殺人事件のまえに死んでしまうかもしれない」と"おねびぃ"は言う。やや大げさな気もするが、アパート解体を防ぐためには致しかたない……ということで、12月2日の目的は電話を切って、"野呂井さん"に美味しいビールを飲ませることとなった。

ここで"うらみちゃん"の新しい能力、"ねんりき"が開放された。これにより部屋のアイテムを動かし、たとえば電話を強制的に切ったり、戸を開閉したりできるようになった。また、異変を起こすと経験値を得られ、"霊レベル"が上がるようだ。

"桜井もも"の執着心はとてつもなく、電話を切ってもまたすぐにかけ直してきた。結局3回も強制的に電話を切ったが、どうにかミッションを達成し、12月2日もクリアーとなった。

たすけてと書かれた日記
©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

いったいどうした!?

12月31日に戻り、次のアクションのために日記を見てみると……12月13日に「たすけて…」の文字が!? いったい何があったのか、すぐに確かめなければ!

③12月13日

12月13日の午後8時55分。なんと"野呂井さん"の住んでいる部屋に、ドロボウが侵入していた。その人物の独り言によれば、この部屋には以前どこかの社長が住んでいて、大金を隠しているのではないかという。

そしてなんとも間の悪いことに、"野呂井さん"が帰ってきてしまった! 慌てて押し入れに隠れるドロボウだったが、もしここを"野呂井さん"が開けて鉢合わせになったら……いったい、何をされるか分かったものではない。

そこで12月13日の目的は、"野呂井さん"が気づくまえに空き巣を追い出すこととなった。 "野呂井さん"がシャワーを浴びているスキに押し入れのまえに移動し、"ねんりき"で戸を開けてやると……。ドロボウは一瞬戸惑ったものの、無人であることを確認すると、「今のうちに逃げるぜ!」と窓から飛び去った。この日もどうにか、"野呂井さん"の平穏は保たれたようだ。

やはり死んでいる野呂井さん
©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

ドロボウを追い払ったが、"野呂井さん"の運命は変わらなかった……。

しかし、12月31日に戻っても"野呂井さん"の運命は変わらなくて……!? というところで、今回のデモ版のプレイは終了となった。冒頭で語られた事件も含め、どうやら"野呂井さん"はかなりのトラブル体質のようだ……。

チームの"好き"や"面白い"を、めいっぱい詰め込んだ作品

試遊後、『事故物件だよ!うらみちゃん』のディレクターとデザイナーにインタビューの時間をいただいた。

――本作はテーマやタイトルが非常に面白いなと感じたのですが、どういったところに着想を得たのでしょうか?

ディレクター:自分たちが好き、面白いと思ったコンテンツのオマージュといった感じで、たとえば『ROOMMANIA#203』、『UFO -A day in the life-』、『ゴーストトリック』といったゲームや、『水曜日のダウンタウン』の"芸能人のアパートに人が潜伏する企画"など、いろいろなところから要素を取り入れています。

タイトルは、本作の時代背景とした1988年当時に放送されていた『8時だよ全員集合!』からです。

うらみちゃんのおばけった

©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

――ちなみに"うらみちゃん"の名ゼリフ、「おばけった」は……。

ディレクター:「バケラッタ」ですね(笑)。


メモ
「バケラッタ」は、『オバケのQ太郎』に出てくるキャラクター"O次郎"が唯一発することのできるセリフ。喜怒哀楽のすべてをこの一言で表現し、兄の"Q太郎"が状況に合わせて翻訳する。

――(笑)。地縛霊をメインにしようと思ったきっかけは何だったのですか?

ディレクター:「アパートの1部屋という世界をどのように面白くできるか?」を考えていった結果、特定の場所から離れられない特徴をもつ地縛霊を活躍させることを思いつきました。あちこちに移動できる一般的な幽霊ではなく、地縛霊のほうがしっくりきましたね。あと、私自身がマンガなどの地縛霊ネタが好きなことも理由です(笑)。

ゴーストタイムの画面

©Minimum Box / 15 Industry

――半リアルタイムにゲームが進行するのが、本当にスゴいと思いました。これは作るのが相当大変だろうなと(笑)。

ディレクター:めちゃめちゃ大変なので、デモ版はいろいろ抑えています(笑)。ただ、製品版ではよりインタラクティブに"野呂井さん"をコントロールできるような遊びも入れたいと考えています。

たとえば、デモ版では"野呂井さん"が自動的にトイレに行きますが、製品版では"うらみちゃん"がシンクを叩くと"野呂井さん"が水を飲み始め、その結果として"野呂井さん"がトイレに行くように仕向ける、みたいな感じです。

――キャラクターもすごく可愛いです。

ディレクター:デザイナーが本当に可愛く描いてくれましたね。最初はもっとホラー味を出そうと思っていたのですが、「これでいこう!」と決めました。殺人事件が起きてはいますが、のほほんとしているというのもテーマのひとつです。

デザイナー:もともとはディレクターが仮で描いていたものがあって、私がそれを自分好みにリファインしました。また、ゲーム内にはキャラクターのアニメーションも必要なのですが、それを作るのが大変なので、動かしやすさも考えました。たとえば"野呂井さん"の髪は本当はロングだったのですが、ショートになったんです。

――"おねびぃ"もいいキャラクターですよね。

デザイナー:じつは"おねびぃ"も、最初はいなかったんですよ。でも、やっぱり"うらみちゃん"のサポート役が必要だろうということで誕生しました。いざ作ってみたら、愛着の湧く感じのキャラクターになってよかったです。デザインについてもチームでいろいろ意見を出し合いながら、二人三脚でがんばっています。

みんな助けたい……助けよう?

殺人事件を扱うようなホラーゲームといえば、一般的にはおどろおどろしいテイストのデザインや不穏なBGMなど、全体的に重苦しい雰囲気を演出するが相場だ。しかし、『事故物件だよ!うらみちゃん』はその真逆だった。"うらみちゃん"をはじめとしたキャラクターはみんなとってもかわいらしく、見ていると和んでしまうほどである。

とはいえ、死んでしまった"野呂井さん"を想うとどうにもいたたまれないのも事実。幸いにも今回は"うらみちゃん"と"おねびぃ"によって状況を変えられそうなので、製品版がリリースされたら、ともに事件を解決しようではないか!!

ディレクターによると、『事故物件だよ!うらみちゃん』は、2025年冬のリリースを目指しているという。ちなみに、本作は"ビットサミット13"のユーザーによって決まる"ポピュラーセレクション賞"に選ばれている。ぜひ期待して、リリースを待とう!

デモ版クリア時の画面

©PINION/©Minimum Box / 15 Industry

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