Ascending Inferno

【BitSummit the 13th】"メタルスラッグ"チームの幻のRPG復活! どこか懐かしい『妖怪バスター ナビ之介』

BitSummit the13th出展作品のプレイレポート

ライター /

重要なポイント

2025年7月18日(金)~20日(日)にかけて、京都・みやこめっせ(京都市勧業館)で開催されたインディーゲームイベント、"BitSummit the 13th"(以下、ビットサミット13)。そのイベントに出展された『妖怪バスター ナビ之介』のプレイレポート。コミカルで魅力的なドット絵で展開するドタバタ和風劇!

インディーゲームの祭典"ビットサミット13"で、KOHACHI STUDIOが手がける新作和風RPG『妖怪バスター ナビ之介』を試遊してきました。

本作は、2000年代初頭に『メタルスラッグ』チームがゲームボーイアドバンス向けに制作しながらも未発売となった幻のタイトルを、Nintendo Switch向けに再構築した作品です。


メモ
『メタルスラッグ』は、1996年にSNKから発売されたアクションゲーム。アニメのように滑らかに動く細かなドット絵によって、戦場の臨場感とコミカルな演出を見事に両立させた作品でした。

懐かしさと新しさが融合した『妖怪バスター ナビ之介』の世界観

『妖怪バスター ナビ之介』のブース全体の画像
©PINION/© KOHACHI STUDIO

ブースの背後の壁に広がる豪華なドット絵。

『妖怪バスター ナビ之介』は、古の架空日本を舞台にした2Dドット絵RPG。

ゲームの舞台は、現代風と時代劇風がごちゃ混ぜになったカオスな日本。

ナース姿の女性や道路を走る車など現代的な要素がある一方で、リーゼント頭の忍者が登場するなど、時代劇の世界観も入り混じっており、まるで現代と江戸時代が同じ時間軸に並んでいるかのようなごった煮感がたまりません。

主人公は見習い陰陽師であるロボットの"ナビ之介"。プレイヤーは"ナビ之介"とともに妖怪がはびこる舞台を巡り、各地の妖怪たちと出会い、時に仲間に加えながら、妖怪が巻き起こす数々の事件を解決していきます。

また、敵との戦闘に関しては、ターン制オートバトルに、プレイヤーが集めた妖怪を使って独自のパーティ編成で挑むのが本作の大きな特徴となっています。

きめ細かで温かみのあるドット絵の世界観

『妖怪バスター ナビ之介』の開始時のゲーム内画像
©PINION/© KOHACHI STUDIO

開始早々、時代劇風の登場人物と、現代の車(ヤンキー車?)が同じ空間に現れるなど、異色の世界観が目のまえに広がります。

遊んでみてまず感じたのは、やはり『メタルスラッグ』チームのドット絵のすごさ。

キャラクターの細かな動きや表情、背景までコミカルかつ高精度に描かれており、思わず見入ってしまいます。

20年以上まえに制作された原案をベースにしながらも、現代向けに丁寧に手が加えられており、時代を超えても色褪せない魅力を放っています。

ドット絵の色味やクセには、『メタルスラッグ』らしさがしっかり感じられます。「やっぱり同じチームが作ってるんだな」と思わず納得してしまう作風です。

150種超の妖怪とデッキ編成で挑む戦略バトル

冒険では150種類以上の妖怪が登場し、バトルで勝利すると妖怪を封印して(デッキとして)仲間に加えることが可能です。

デッキは"バトル妖怪"と"サポート妖怪"で構成されており、なおかつ"火"、"水"、"地"、"風"、"怨"といった5つの属性相性や回復支援といった要素が絡み、戦略性は十分。

バトルは基本的に自動進行ですが、プレイヤーが任意のタイミングで"サポート妖怪"を呼び出し、回復などのサポートを行うこともできます。

仲間にできる妖怪には、狐耳の少女風の"センコ"や、洋服を着た猫のような"ネコマタ"など、外見も性能もバラエティ豊か。集めた妖怪をバトルで使い分ける楽しさがあり、長く遊べる仕組みがしっかり用意されています。

敵とバトルを繰り返し仲間を増やす

フィールドをうろついている魂に触れることで、敵とバトルを開始できます。

倒した敵は一定確率で仲間にすることができ、仲間になる妖怪を集めて自分のパーティをどんどん強化していけます。

また、前述のとおり妖怪には5つの属性があり、バトルではその属性の相性がカギを握ります。

相手の弱点に強い妖怪を集めて戦略的に組むのはもちろん、可愛い女の子風の妖怪やカッコいい動物系の妖怪など、見た目の好みだけでパーティを組むのも面白そうです。

巨大過ぎるボス戦! まさかの仲間化!?

巨大ボスとの戦闘では、あまりにもボスが大きすぎてナビ之介が画面外に見切れてしまい、"ココです"と位置を示されるコミカルな演出があり、思わず笑ってしまう遊び心も!

ボスバトルは、特撮映画のようなド派手なシチュエーションと、緻密に描かれたドット絵が相まって、インパクト抜群でした。さらに、ボスも他の妖怪と同様に撃破後、封印して"仲間"にすることが可能に。

さらに製品版では、さまざまな見た目やシチュエーションのボス戦が楽しめはず、そう思うとワクワクが止まりません。

少しレトロだけど温かみやギャグ満載のイベント

今回の試遊では、"ミス宇都宮コンテスト"というイベントが体験できました。参加者は、ぬか漬け三段活用が得意な老婆"トメさん"、潮風エステで仕上げた妖怪"ウミニョウボウ"、ただの"山賊"など、超個性的な面々が勢揃い。

ちなみに、参加者が登壇するたびに、「おばあさんやないかーい」、「子持ちの妖怪やないかーい」などの野次が飛び交い、どこか昭和のバラエティ番組を思わせるような、少し古めのギャグやツッコミが楽しめるコミカルなやり取りが展開されており、懐かしさと笑いを誘います。

そして、満を持してミスコンに登場したのが18歳の可愛い女の子・珠藻(たまも)。気合の入ったドット絵にくわえ、さらに歩くたびに周囲に煌めくエフェクトをまとっており、すぐにメインキャラだとわかる優遇っぷり。短いながらも、踊るシーンまであり、その演出へのこだわりは相当なもの。

奇天烈な世界観のなか、ドット絵で描かれた味のあるキャラクターたちが、少し古めのギャグやボケを交えながら進むイベントシーンは、今回の試遊版だけでも十分に可能性を感じさせる作りでした。

昨今のスタイリッシュなRPGは、それはそれで面白いのですが、筆者のようなスーパーファミコン世代のプレイヤーにとっては、こういった肩ひじ張らずにリラックスして遊べるRPGがとても心地よく、ひさびさに遊びたくなるような気分にさせられました。

丁寧に作り直し、痒いところまで手の届く作品へ

試遊後、『妖怪バスター ナビ之介』を開発したKOHACHI STUDIOの代表・関 亮多氏にインタビューの時間をいただきました。

――本作はもともと20年まえに『ゲームボーイアドバンス』で開発していた作品と聞きました。

関 亮多氏(以下、関):はい。もとは特殊なデバイスと連動して遊べる当時としては画期的なアイデアを盛り込んで進めていました。ただ、特殊デバイスの話が立ち消えになり企画自体も一度閉じてしまいました。

ーーNintendo Switch版で復活するにあたり、気を付けた点などありますか?

:当時は、いまほどチュートリアルを丁寧に作る風潮がなかったので、本作ではバトルなどのチュートリアル周りも力を入れています。

『妖怪バスター ナビ之介』のチュートリアル画面
©PINION/© KOHACHI STUDIO

初めてのバトルでは手厚いフォローが印象的でした。

ーードット絵が魅力的な妖怪ですが、何か開発でこだわった点などあればお願いします。

:開発者の多くは戦車や戦闘機が大好きで、そういった渋めのドット絵が増える傾向にありました。可愛い妖怪が脇役として扱われがちだったので、そこは話し合ってもっと良いポジションに移したりしました。

『妖怪バスター ナビ之介』のブース壁に映る妖怪集合絵
©PINION/© KOHACHI STUDIO

よく見ると可愛いらしい女の子キャラもちらほら。

ーーその他にもおすすめのポイントなどあればお願いします。

:妖怪の収集要素や、それに絡んだバトルシステムなどはしっかり練り直して調整しています。じっくりと長く楽しんでいただければと思います!

本物は色褪せない!

もともと「ゲームボーイアドバンス向けに開発されていた」という前提を知ったうえでプレイしてみると、まず感じたのは、懐かしさとともに迫力あるドット絵の魅力でした。時代を超えて、いまなお通用する完成度の高さに驚かされます。

現代とも過去とも言い難い、独特な世界観を見事に表現した背景のドット絵。そこに登場する魅力的なキャラクターたちや、思わずクスッと笑ってしまうヘンテコなキャラ劇まで、ゲーム全体を通してドットグラフィックの完成度が際立っていました。

試遊版という短い時間のなかでも、これだけ濃密な体験ができたのですから、製品版ではさらに広がるであろうドット絵の世界が、いまから楽しみでなりません。

そして、なんだか無性に『メタルスラッグ』を遊びたくなってしまいました。

最後に、本作のデザイナー・akio氏のポストには本作に込めた想いが語られていますので、そちらを掲載して本記事を締めたいと思います。