Ascending Inferno

【BitSummit the 13th】携帯ゲーム機"Playdate"用レースゲーム! 斬新な操作方法で高速道路を爆走する『CRAZY SONIC』

BitSummit the13th出展作品のプレイレポート

ライター /

重要なポイント

2025年7月18日(金)~20日(日)にかけて、京都・みやこめっせ(京都市勧業館)で開催されたインディーゲームイベント、"BitSummit the 13th"(以下、ビットサミット13)。そのイベントに出展された『CRAZY SONIC』のプレイレポート。ゲーム機本体に取り付けられたクランクで車両のスピードを調整し、続々と現れる障害物をかわしながらゴールを目指せ!

一般的なレースゲームにおいて車体を加速させるには、コントローラーのボタンを押し続けてアクセルを踏むことが多い。場合によってはペダル型のコントローラーを使うことで、より臨場感のある体験ができる場合もあるだろう。

Hiroshi Ideno Presentsが贈る『CRAZY SONIC』は、そんなレースゲームたちとはひと味違った操作方法を取り入れた、新感覚のアクション&レースゲームだ。その気になる操作方法とは……なんと、「クランクを回す」である!

Playdate本体

© Panic

こちら(上の写真)は、2022年4月19日にアメリカのPanic社が発売した携帯型ゲーム機・Playdate 。本体にはモノクロの1ビットスクリーンに方向キー、ふたつのボタン……そして、右側に回転式のクランクが取り付けられている。そう。『CRAZY CONIC』は、このPlaydate向けに開発されたゲームというわけだ。

CRAZY SONICのブース
©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

『CRAZY SONIC』のブース。

ハードウェアもソフトウェアも斬新すぎて、こんなのスルーできるわけない! というわけで、会場内の安全な移動を心がけつつ、本作のブースめがけてクレイジーに突撃してきた。

スピードだけが正義じゃない!

Playdate本体
©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

ホンマにクランクがついとる……。

試遊台に到着し、まずは気になるPlaydateの実物を見せてもらった。おぉ、ホントにクランクが付いているではないか! 試しに回してみると意外と軽く、チカラはまったく必要なかった。それでいてしっかりと本体に固定されているので、耐久性もよさそうだ。

いっぽう、『CRAZY SONIC』のほうはというと……。説明パネルには「使うのはクランク、上ボタン、下ボタンの3つだけ!」、「クランクで加速!」、「上ボタン、下ボタンでレーン移動!」と書かれていた。なるほど、ゲームのルールはシンプルそう。

さっそくゲームを起動してみると、プロローグが始まった。

1台の車が、道路を走っている。運転手は"クレイジーソニック"というコードネームを冠する、クールな雰囲気の男性だ。"クレイジーソニック"は、専属メカニック兼作戦オペレーターの"ローズ"と、無線通信で話していた。

簡単な自己紹介を済ませた"ローズ"は、本作のルールを"クレイジーソニック"(とプレイヤー)に向けて告げる。そして、"フェーズ1"(最初のコース)が始まった。

本作では、コース(各ステージ)を右から左に走って、制限時間内にゴールへたどり着く(画面下の進行度をMAXにする)のが目的となる。

車はクランクを回転させると加速し、画面左に移動する。逆に回転を止めると減速し、画面右に戻っていく。なお、車を加速させると進行速度が速くなり、より早くゴールできるというメリットがある。

また、コース内には3つのレーンがあり、方向キーの上と下で移動できる。各レーンでは横方向や上方向から障害物が出現するので、クランクによる加減速や方向キーを上手く使って、それらをかわしながら進んでいくことになる。以上が、基本的なルールだ。

早くゴールするにはゴリゴリとハンドルを回し、できるだけ車を加速する必要がある。しかし厄介なことに、障害物の出現カウントダウンの速さは車の速さに比例するので、やみくもにスピードを上げるのは考えものだ。さらに言えば、上方向から降ってくる障害物が前方(画面左寄り)に現れる場合は、あえて減速しないとぶつかってしまう。

つまり本作は『CRAZY SONIC』という、あたかも"スピードこそ正義!"と言わんばかりのタイトルでありながら、実際には低速と高速を使い分けるテクニカルな操作が求められるゲームなわけだ。この塩梅が、じつによくできていると感じた。

練られた世界観にも注目!

ローズのセリフ
©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

開発者が自らをいじるシーンも!?

ひとつのコースをクリアーすると、そのたびに会話イベントが挟まれる。"ローズ"によれば、「1分そこらクランクを回し続けると手が疲れるから、フェーズの切れ目に会話イベントを入れて、手を休めてもらおうと思った」とのこと。うーん、やさしい。

そんな会話イベントのなかでもひときわ特徴的だったのが、本作の世界観の解説だ。

スローライフ理念の説明
©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

会話イベントでは、"CRAZY SONIC社"の他のメンバーも登場する。

『CRAZY SONIC』の世界には、"スローライフ理念"という都市条例が存在している。その内容は、"幸福や人権を阻害するような過度な競争的営利行為を条例で禁止する"というもの。

具体的には、午後8時以降の無許可の勤務行為や、店舗営業の禁止。公共交通機関の午後10時以降の運行禁止。速度超過等の交通違反の厳罰化などだ。

この条例により、街の人々は度を超えた営利行為が生む不幸から解放された。要するに、誰も残業や徹夜をしなくてよくなったのである。しかし、そこでめでたしめでたし……と完結しないのが世の常。

社長のセリフ
©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

夜間はお店もあまりやっていないようだ。

まず、誰も残業も徹夜もしないということは、夜間に起こる緊急事態には、個人で対応しなければならない。夜中にお腹が空いてもコンビニは開いていないし、フードデリバリーもやっていない。警察、救急、消防は24時間365日機能しているが、それも最低限に抑えられているのだという。

そこで、有事に依頼者のもとに駆けつける民間サービスが生まれた。それこそが、"クレイジーソニック"らメンバーの活躍する"CRAZY SONIC社"である。同社は"オンデマンドスピードサービス"を提供しており、法的に深夜営業と緊急用高速道路の利用や、超高速走行の認可を受けているそうだ。

リアル世界に当てはめると、なんだかいろいろと考えさせられるストーリーである。

"速く走ること"に意義を見出した背景とは?

試遊後、本作の開発者にインタビューの時間をいただいた。

――本作はハードも含め、見たことがないタイプのゲームで驚きました。

開発者:ゲームを作るときって「コントローラーがこうだから、操作はこうなる」といったように、どうしてもその仕様に影響を受けてしまうんですよね。でも、Panic社さんは「ユーザーに新しいゲームを届けたい」ということで、独自にPlaydateを発売したそうです。私はその姿勢に感銘を受けて、ぜひ協力したいと考えました。その結果生まれたのが、『CRAZY SONIC』です。

――クランクを回して操作するアクションパートはもちろん、ストーリーも面白いですね。キャラクターのセリフがギャグっぽいというか(笑)。

ローズのセリフ

©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

開発者:それは「デモ版のストーリーでは遊ぼう」と思って、私がノリノリで書いたからです(笑)。製品版では、もう少し真面目にやります。

――"スローライフ理念"は非常に面白い設定だと感じたのですが、どんな背景から思いついたのですか?

CRAZY SONIC社のメンバーのセリフ

©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

開発者:その質問をいただいたのは初めてです。よくぞ訊いてくださいました! 『CRAZY SONIC』はクランクを回すと速く走れるゲームですが、そこにストーリー性を持たせようとすると、「この人たちはなぜ速く走る必要があるのか?」という疑問に対する回答を用意しなければなりません。

私はそれをずっと考えていて、たとえば単純に「レースで速く走る」という風にすることもできたのですが、それでは面白くないなと。そしてさらにいろいろ考えた結果、やがて「世界の多くがスローライフを基準とするなかで、自分たちの信念をもって速く走ろうとする人がいたらどうか?」という発想に至りました。

本当はみんなゆっくりしたいけれど、おもに経済的な意味で動きを止めるわけにはいかない。でも、もしその状況が法律で無理やり矯正されたとしたら……おそらく、いろいろな問題が起こり、反発する者も出てくるでしょう。そうなれば、お話が作れそうだなと。

――ゲームの販売はどのようにしておこなうのですか?

開発者:PlaydateにはPanic社が運営している専用のストアがあって、同社に申請をしてオッケーをもらえれば販売ができます。ユーザーはネットワークに接続してソフトを購入します。ちなみにPlaydateを購入すると毎週2本、合計24本のゲームが自動的に無料で配信されて遊べます。

『CRAZY SONIC』は私がひとりで制作しており、発売日は未定です。本当ならBGMまで作りたいのですが、さすがに誰かに頼もうと思っています(笑)。

Playdateも要チェック

CRAZY SONICプレイ画面

©PINION/©Hiroshi Ideno Presents

クランクによって車を操作するという、斬新なゲーム性を楽しめる『CRAZY SONIC』。今回はデモ版での試遊となったが、アクション・レースゲームとしての完成度はすでに十分なレベルに達しており、筆者はつい夢中でプレイしてしまった。

また取材を通じ、専用ハードウェアであるPlaydate向けに本作の制作を進める開発者の熱意は、非常に尊いものだと感じた。そんな『CRAZY SONIC』が気になったかたは、まずはPlaydateの公式サイトをチェックしつつ、インディーゲームのイベントに本作が出展されているかどうかを追いかけてみてほしい!

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