シリーズ初のゼルダ姫が主人公! 『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』にはひらめきの数だけ攻略法がある

いろいろなものを"お借り"するアクションアドベンチャー

ライター /

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『ゼルダの伝説』シリーズ初となる、ゼルダ姫を主人公としたアクションアドベンチャーゲーム。身の回りのものや、魔物を登録して呼び出す"カリモノ"の要素がユニークで、プレイヤーの発想によってさまざまな攻略法を考えられるのが魅力。いっぽう『ゼルダの伝説』シリーズの醍醐味のひとつである謎解き要素も健在で、他のシリーズ過去作をプレイしたことがある人でも十分に楽しめる。

長所

  • シリーズ初のゼルダ姫が主人公
  • 豊富で歯ごたえのある謎解き要素
  • カリモノを利用したユニークな探索、戦闘
  • プレイヤーの発想しだいで無数にある攻略法

短所

  • 謎解きは人によって難しさを感じることも

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』は、任天堂より発売されたNintendo Switch専用のアクションアドベンチャーゲーム。開発は、リメイク版『ゼルダの伝説 夢をみる島』を手掛けたグレッゾが担当している。

『ゼルダの伝説』といえば、一部の作品を除いて"主人公=リンク"というイメージが強いが、本作ではシリーズでもお馴染みのキャラクター・ゼルダ姫が初の主人公として大抜擢。そのため、シリーズファンからは発売されるまえから大きな期待が寄せられていた作品だ。

リンクがいなくなったハイラルを救う大冒険

本作の物語は、リンクが囚われのゼルダ姫を救うためラスボスのガノンと戦うところからスタート。無事ガノンを倒すも、リンクは突如空間に発生した謎の裂け目に飲み込まれてしまい行方不明に。なぜか裂け目の元凶として追われる身となってしまったゼルダ姫は、裂け目を塞ぐことができる妖精のトリィと出会い、舞台となるハイラルの地を救う冒険へと出発することになる。

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』裂け目に飲み込まれた家
© Nintendo

裂け目は各地に出現し、そこにあったもの(物質)といっしょに人間も飲み込んでしまう。

そんな『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』の大きな特徴は、やはりゼルダ姫が主人公という点。ハイラル王国の姫・ゼルダといえば、シリーズ作品によってはリンクと協力しながら冒険することもあったが、どちらかと言えばリンクに救い出されることが多いキャラクターである。

そんな彼女が自らの足で各地を冒険し、さまざまな種族と交流しながらハイラルを救う物語は、シリーズをプレイしたことがある人にとっても新たな体験であり、感慨深いはずだ。裂け目に飲み込まれてしまった勇者リンクを姫が探すという流れも、これまでと立場が逆転しており非常に面白い。

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』ハイラルの地
© Nintendo

ゼルダ姫が冒険することになるハイラルの地は広大。ファストトラベルできるポイントも多数設けられている。

なお、物語の冒頭でガノンと戦う際はプレイヤーがリンクを操作できるのだが、その後にゼルダ姫を操作したときに両キャラの手触りの違いを感じられるのも興味深いポイント。たとえば、ゼルダ姫とリンクはジャンプができるのだが、跳躍力の差からリンクなら軽々と飛び越えられる場所も、ゼルダ姫にとっては行く手を塞ぐ障害物に。また、ゼルダ姫はハートの数(体力)もリンクと比べてとても少なく、剣や弓などの武器を使った攻撃についても制限が設けられており、姫の冒険がいかに過酷なものかがよくわかる仕掛けとなっている。

発想しだいで攻略法も大きく変化! "カリモノ"を使った謎解き&探索

『ゼルダの伝説』シリーズの魅力といえば、豊富なダンジョンと謎解き要素。『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』にもこれらの要素は多数用意されており、十分満足できるボリュームとなっている。そんな謎解きや探索をするうえで今回重要になってくるのが、相棒のトリィからもらった杖"トリィロッド"の能力、"カリモノ"だ。

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』トリィから杖を借りるゼルダ姫
© Nintendo

ゼルダ姫(右)と妖精トリィ(左)。中央にあるのがトリィロッド。

ゼルダ姫はベッドや木箱、机といった身の回りのものをカリモノとして"お借り"(登録)することができ、一度借りたもの(カリモノ)はいつでも杖から作り出すことが可能。カリモノを利用することで、たとえばベッドを複数つなげて崖の向こう側へと渡ったり、トランポリンを出して障害物を飛び越えたりと、探索で大いに役立ってくれる。しかも、倒した魔物もカリモノとして登録することができ、(カリモノとして)呼び出した魔物はゼルダ姫の代わりに戦ってくれるので、戦闘面でもなくてはならない要素となっている。

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』ベッドの使い道
© Nintendo

ベッドは足場として使えるほか、横になって休むとハート(体力)を回復できるといった使い道も用意されている。

そんなカリモノのおかげで、本作はプレイヤーの発想の数だけ攻略法が用意されており、崖の向こう側へ行く方法ひとつとっても、ベッド以外に空飛ぶ不思議な床を使って一気に飛んでいく方法もあれば、空飛ぶ魔物を呼び出してそれに掴まって滑空する、といった方法を取ることも可能。どのカリモノを持っているか、そしてどのように利用するかで、攻略の手段は無数に用意されている。

だからこそ、冒険中に"謎解き"を見つけたときは、手持ちのカリモノをどう使おうかと考えるだけでも楽しくて仕方がない。また、行ったことがない町やダンジョンでは、カリモノに登録できるものがないかと、ついつい攻略そっちのけで探してしまうのだが、そういった部分もこの作品ならでは魅力だ。

『ゼルダの伝説』らしさもしっかり感じられる作品

ユニークなカリモノの要素によって、これまでの『ゼルダの伝説』シリーズとはひと味違った探索が楽しめ、攻略法も無数に用意されている本作。しかし、さまざまな攻略法があるからといって、けっして簡単にクリアできてしまう作品というわけではない。カリモノにはそれぞれ"コスト"が設けられており、ゼルダ姫が出せるカリモノのコストには上限が設けられている。もし上限を超えて出してしまった場合、いちばん最初に出したカリモノは消えてしまうため、利用する際はコストも念頭に入れなくてはいけない。

また謎解きにに関しても、なかにはちょっと複雑で難しいと感じるものや、ひらめきが求められることも。どの謎解きを難しく感じるかは個人差があるだろうが、頭を使いながら冒険するという意味では『ゼルダの伝説』らしい内容となっており、無数の攻略法がありながらシリーズファンでもしっかりとした歯ごたえを感じることができるはずだ。

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』シンクを利用した移動方法
© Nintendo

ゼルダ姫はカリモノ以外にも、自身と対象物の動きをシンクロさせる"シンク"の能力が使え、謎解きではとても重宝する。

また、ゼルダ姫はリンクが持っていた"力の剣"を入手することで"剣士モード"に変身できる。剣はもちろん弓も用いて積極的に攻撃できるようになるなど、従来のシリーズと同じような手触り感を楽しむことができる。

ただし、剣士モードでいると"エネル"(ゲージ)を消費し、なくなるともとの姿に戻ってしまうため、ボス戦など「ここぞ!」というときに使うのが基本。あくまでメインはカリモノを使っての探索や戦闘であり、そんなメインとなる本作ならではの要素を妨げることなく、従来の『ゼルダの伝説』らしいプレイフィールが楽しめる絶妙なバランスは見事と言わざるを得ない。

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』剣士モードのゼルダ姫
© Nintendo

剣士モードになったゼルダ姫は青く発光する。リンクと同じ衣装で戦うゼルダ姫を見ることができるという点でも、シリーズファンにとってはプレイする価値のある作品だ。

そのほかにも、個人的にはフィールド探索時などで『ゼルダの子守唄』をアレンジしたBGMを聴くことができるのも見逃せない(聴き逃せない)。シリーズの名曲を聴きながら冒険できるというだけで、プレイするモチベーションも高くなる。シリーズ初となるゼルダ姫が主人公かつ、魔物を呼び出して戦うといった過去作とはひと味違う楽しみかたが味わえるいっぽう、『ゼルダの伝説』としての魅力やファンが喜ぶような要素が随所に見られるのはうれしいポイントだ。

もちろん、ひとつのゲームとしても非常に完成度が高い作品なので、『ゼルダの伝説』を遊んだことがないという人にもシリーズの入門作としておすすめしたい。本作を遊んだあとに、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』をプレイすると、その雰囲気やストーリーもガラッと変わり驚かされるはずだ。

© Nintendo

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