
重要なポイント
昨今、プロゲーミング/FPS(ファーストパーソンシューティング)コミュニティで大きな話題となっているガラス製マウスパッド。布製マウスパッドに比べてマウスコントロールの速さで勝り、表面の耐摩耗性も優れています。およそ10000円~20000円と高価な商品も多いですが、その価格に見合った長所がいくつもあります。反面、ガラスという材質がそのまま短所につながっている点も多いです。本記事ではガラス製マウスパッドのメリットとデメリットを比較しながら解説します
昨今、ガラス製マウスパッドはプロゲーミング/FPSコミュニティで大きな話題を呼んでいます。
既存の広く流通している布製マウスパッドに比べて「ガラス製マウスパッドのほうが競技志向の強いゲームに向いたマウス操作が可能になる」と一部のゲーマーたちのあいだで語られています。
その理由としては、まず第一にマウスパッドと机の接地面が安定しているため、マウスの操作時にマウスパッドがズレるような不測の自体が起きず、限りなく安定した動作を追求できる点が挙げられます。
布製のマウスパッドは、素材が軽いことも相まって、マウスを激しく操作すると手や小指がマウスパッドの側面に当たったとき、ズレてしまうことがあります。ところがガラス製マウスパッドなら、素材自体が重いおかげで、ほとんどズレません。
そしてマウスパッドの表面においても、布製と比べ圧倒的な耐摩耗性を誇り、そのガラス面においては布地よりも滑らかにマウスを動かせることも大きなメリットだと言えるでしょう。
しかし反面、ガラス面は布地よりも冷たく、冬場には指や手首が冷えやすくなり、暖房が効いていない場合はマウスを動かす手の精密性が悪くなるという短所もあります。
さらに皮脂や汗がガラス製マウスパッドの表面に付着するとマウス感度の正確さに悪影響が出たり、マウスソール(マウスの底面部材)が皮脂や汗で汚れることにもつながったりもします。ですから頻繁にマウスパッドの表面を掃除する必要もあります。
もちろん、それらの影響を気にせず使い続けることもできますが、その場合は布製マウスパッドから買い替える利点が少なくなってしまいます。基本的にガラス製マウスパッドは清掃することが前提の製品だと言えます。
とはいえマウスパッドの表面をサッと拭くだけで良いので、マメな人にとってはそこまで大きな問題ではないかもしれません。
また、マウスの動作が大きい人は、マウスパッド表面の滑りが良すぎることによって、慣れるまでに長い時間がかかる可能性もありえます。
そしてもっとも大きな短所として、非常に高価な製品だという点が挙げられます。一般的なガラス製マウスパッドは、幅50センチ台のXLサイズから幅90センチ台のXXLサイズまでが定番で、10000円~20000円を超える商品が広く流通しています。
この価格帯は、同サイズの布製マウスパッドに比べて約2倍~5倍ほどの値段です。
本記事では、そういった多くの長所と短所を併せ持つガラス製マウスパッドについて具体的な商品例とともに解説していきます。
ガラス製マウスパッドの種類と傾向
ガラス製マウスパッドは、製品ごとに異なる特徴を持っています。まずは3種類の製品を例に挙げて解説しつつ、その大まかな傾向をまとめていきます。
①WALLHACK "SkyPAD 3.0 XL Cloud"

XLサイズ(幅50センチ、奥行き40センチ)は18380円。ラインナップはBlack、Whiteの2種類。
近年、ガラス製マウスパッドの代名詞として広く知られているのは、デンマークで創業されたマウスパッドメーカー、WALLHACKが開発した"SkyPAD 3.0 XL Cloud"(以下、"SkyPAD 3 Cloud")という製品。
2022年7月に発売されるやいなや人気の売れ筋商品となり、WALLHACK直販サイトではすでに生産完了品となっています。さらに、一般の販売店舗でも、ほとんどが売り切れ状態となりました。
圧倒的な売れ行きを誇る"SkyPAD 3 Cloud"は、特殊なサンドブラスト加工(砂吹き加工)によって、限りなく滑らかな表面処理が実現されています。その表面仕上げは、マウスをどの向きに移動させたときにも、素早く均一なコントロールを可能にしています。
②Pulsar Gaming Gears "Superglide Glass Mousepad"

XXLサイズ(幅98センチ、奥行き42センチ)は18920円。ラインナップはBlack、White、Redの3種類。
ふたつ目は、大手ゲーミングデバイスブランド、Pulsar Gaming Gearsの"Superglide Glass Mousepad"。"ゴリラガラス"という別名でも知られるアルミノシリケートガラス(強化ガラス)が用いられ、傷やひび割れに対して圧倒的な耐久力を持つのが大きな強み。
表面に関しては、マウスの止めやすさを重視したテクスチャが貼り付けられているので、キビキビとした左右の切り返しが求められるシチュエーションで有利に働きます。
③Wraith "Wraith Cosmic Glass V2 Mousepad White"

サイズは幅98センチ、奥行き42センチで16800円。
3つ目は、トルコのメーカーであるWraithが発売している"Wraith Cosmic Glass V2 Mousepad White"。
表面に特殊なテクスチャの貼り付けやコーティングを施していないことを強みにした製品で、意図的に傷付けない限り、一般的な使用において半永久的な耐摩耗性を誇ります。
"SkyPAD 3.0 XL Cloud"はサンドブラストによる表面加工、"Superglide Glass Mousepad"は専用のテクスチャ貼り付けによって、滑らかさとマウスのストッピング性能を実現しているため、丈夫とはいえども、ある程度の経年劣化が懸念されることは事実です。
ところが"Wraith Cosmic Glass V2 Mousepad White"は、一切のコーティングを表面に施さず、基材のガラスがむき出しになっています。
製品全体に用いられているガラス素材の上で、そのままマウスを操作することになるので、表面加工やコーティングが削れる心配が一切ありません。
また、それほどの耐久性を誇りながら、ほかのガラス製マウスパッドとは一線を画す特殊なマウスコントロールも実現されています。
基本的には、昨今主流となっているガラス製マウスパッドは、滑らかな表面仕上げをもとにしたマウススピードの速さをウリにしています。
しかし、"Wraith Cosmic Glass V2 Mousepad White"は、マウスの素早さよりも、しっかりとしたストッピング性能が重視されており、布製マウスパッドから買い替えたときに"滑りやす過ぎて使い始めに慣れが必要"になる短所が大幅に緩和されています。
ガラス製マウスパッドの長所と短所
ここからは、前述したガラス製マウスパッドにおいて、共通した長所と短所について解説していきます。
【長所】
- マウスパッド表面の抵抗が少ないので、小さな力で素早くマウスを動かせる
- マウスパッド表面に布地のようなたわみや凹凸が発生しないため、つねに正確なマウスコントロールが可能
- 布製マウスパッドのスポンジ丸出しの側面に比べて、横から見てもスタイリッシュな外観
- 布地の表面に比べて圧倒的な耐摩耗性を誇り、経年劣化も少ない
まず、もっとも大きな長所としては、布製マウスパッドに比べて圧倒的に少ない力でマウスを動かせる点が挙げられます。さらにパッド底面がズレたり、布地のたわみによる表面の凹凸が発生したりしないので、"マウスコントロールの速さと正確さ"という点では、布製マウスパッドの追随を許しません。また、布製マウスパッドは手首の汗を吸ったり、湿度の高い夏場では膨張することも表面のたわみにつながりますが、もちろんガラスなら、その点も心配いりません。
ほかにも、布製マウスパッドは側面からスポンジの基材が見えてしまうのに対して、ガラス製マウスパッドは上から見ても横から見てもスタイリッシュな外観となっています。そして布製マウスパッドと比べて、はるかにガラス製マウスパッドのほうが耐摩耗性が高く、なかでも"Wraith Cosmic Glass V2 Mousepad White"のような表面加工が施されていない基材一体型の製品は、経年劣化による操作性の悪化を限りなくゼロに近づけることができます。
【短所】
- 手首の汗や皮脂がガラスの表面に残ってしまい、マウスコントロールの悪化につながる
- 汗や皮脂の付着を完全に防ぐためにはアームスリーブが必要
- 冬場は布製マウスパッドよりも手首が冷えやすいため、マウスの精密な操作が損なわれる
- ガラス製マウスパッドは布地と比べてマウスソールが削れるので、貼り替えの手間と費用がかかる
- 布製マウスパッドからガラス製マウスパッドに買い替えたときには慣れが必要
梅雨や夏場の湿度や汗でマウスパッド自体が変化(変形)しないという部分は、ガラス製マウスパッドの利点ですが、逆を言えば手首の汗がそのままガラスの表面に残ってしまうことが短所になります。そのうえ、ガラス表面の汗や皮脂を拭き取る必要もあるので、小まめな清掃が面倒な人にとっては、煩わしく感じるかもしれません。また、人間の皮膚とガラスの相性の悪さに焦点を当てると、いくらマウスの滑りが良くても"手首がマウスパッドに張り付いて動かしにくい"という短所も見えてきます。

"WALLHACK アームスリーブ Frenzy Sora”、2900円。
この点に関しては、メーカーがガラス製マウスパッドと合わせてアームスリーブを発売していることも多いので、そのような手首とマウスパッドの接触を防ぐ衣類を身に付ければ解決できます。
さらに冬場は、布地に比べて圧倒的に表面温度が低くなるため、指や手首が冷えてしまい却ってマウスコントロールが悪くなるかもしれませんが、手首が接触する問題と同じくアームスリーブを装着したり、暖房を効かせたりすることで緩和できます。
また、ガラス素材の耐摩耗性が高いという点は、プラスチックで出来たマウスソール(マウスの底面部材)を削ってしまうことにつながります。
マウスソールが削れると、マウスを動かすときにガタついたり、マウス重量のバランスが悪化して精密さが損なわれるので、新たにマウスソールを購入して貼り替える必要があります。
そもそもガラス製マウスパッド自体が高額なので、アームスリーブやマウスソールで出費がかさむと、金銭的にも労力的にも両方のコストが余分にかかることになります。
最後にマウスパッドを大きく動かす人やマウスのストッピングを意識していない人にとっては、その滑りやすさに慣れるまで時間がかかることも考えられます。この点は、個人差や練習時間など、さまざまな要因が絡むので一概には言えませんが、しっかりと留意しておきたい問題です。
ガラス製マウスパッドを選ぶべき人は?
上述のような長所と短所を併せ持つガラス製マウスパッドですが、そもそもどのようなゲームプレイヤーに向いた製品なのでしょうか。短所もそれなりに目立つ製品ですが、そこをカバーできる以下のようなタイプの人にとっては、おすすめだと言えます。
①FPSやMOBAを熱心にプレイしている人
たとえば、ソロプレイのターン制RPGやシミュレーションゲームなど、素早く正確なコントロールが求められない作品では、布製マウスパッドでも過不足なくプレイできます。
その一方で、FPSやMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)のような精密かつ素早い操作を求められる競技志向の強い作品では、ガラス製マウスパッドの利点がゲーム内での活躍につながります。
②ゲーム以外の日常使いにおける不便さを許容できる人
ガラス製マウスパッドは、布製マウスパッドに比べてゲーム以外の日常的な使用に不向きな点も多々あります。
とくに頻繁に掃除をしないとマウスの精密性が悪化するのは大きな欠点です。
アームスリーブの装着で解決するとはいえ、その方法で短所を補う場合、アームスリーブを付けること自体が面倒なルーティーンとなるかもしれません。
さらにガラス製マウスパッド上での使用によって、削れたマウスソール(マウスの底面部材)を貼り替える手間と費用も必要となります。
総じて言えば、ガラス製マウスパッドは、日常の利便性が低い代わりに、いくつかの条件(アームスリーブ装着やマウスソールの貼り替え)を満たすことで、万全の性能を発揮する製品です。つまり、日常使いの不便さと引き換えに、ゲームプレイ時のマウスコントロールを伸ばしたいゲーマー向きの製品だと言えます。
③新しいものをPCゲーム生活に取り入れたい人
逆に、短所を長所と思えるゲーマーに、ガラス製マウスパッドはおすすめです。
たとえば、どんな素材のアームスリーブが良いのかを悩んだり、ゲーミングメーカーが発売しているアームスリーブを吟味したりすることは楽しさにつながります。
また、マウスソールを付け替えるようなメンテナンス要素も、自動車やスポーツ用品の手入れのようなものだと捉えれば、それ自体が楽しみのひとつとなるかもしれません。
……以上のような要素が当てはまるかたは、ぜひガラス製マウスパッドの購入を検討してみてはいかがでしょうか?