重要なポイント
ゲームのフレームレート(fps)が高いほど、アニメーションはより滑らかになります。また、高いフレームレートは動きの精度を向上させるため、格闘ゲームやアクションRPGなどのスピード感のあるタイトルではとくに重要です。
ゲームで使われる専門用語のなかでも、フレームレート(fps)はもっとも一般的な言葉のひとつです。
フレームレートの単位であるfpsは、"frames per second(フレーム・パー・セカンド)"の略です。ゲームのアニメーションにおいて1秒間に表示される画像の数(秒間フレーム数)を指します。
映画やテレビ番組とは異なり、ビデオゲームにおける秒間フレーム数は、プレイヤーが体験するゲームの質に大きく影響します。
人が静止画ではなく動きとして認識するfpsは?
多くの人は、12フレーム毎秒以下で動く個々の画像を視覚的に処理できます。この時点では、各フレームを個別に認識することが可能です。しかし、12fpsを超えるとフレームは連続して見え、動きの錯覚を生み出します。
関連する話題として、fpsの単位は技術的にはヘルツ(Hz)です。幸い、換算は簡単で、1フレーム毎秒が1ヘルツに相当します。これがモニターやテレビの表示能力を表す際の基準です。たとえば、家電量販店では、30Hzや60Hzといった表示がされているモニターやテレビを見ることができます。
"fps"という用語はどこから来たのか?
fps(フレーム毎秒)という言葉は、もともと映画業界から生まれました。フレームとは、1つの画像が収められたフィルムストリップ上の四角い枠のことを指します。つまり、それぞれの静止画が独自のフレーム内に収められています。
これらのフレームが次々に素早く表示されることで、映像が再生され、その速度が秒単位で測定されます。このようにして、視覚メディアの再生速度のことを"フレーム毎秒"と呼ぶようになりました。そして、後に"fps"という略称が使われるようになったのです。
さらに、"映画"という言葉も同じような由来があります。映画(movie)は、ムービング・ピクチャー(moving pictures)の略であり、モーション・ピクチャー(motion picture)と同様、連続したフレームが動いているように見える現象を指しています。先ほど述べたように、人の目には12fpsを超える映像は動いているように見えます。
モニターが画像を表示する仕組み
現代のモニターは、ピクセル表示ユニットで全面が覆われています。各ユニットは、ひとつのピクセルの視覚出力を担当しており、ピクセル自体は赤、青、緑のセグメントで構成されています。モニターが視覚情報を受け取ると、何百というピクセルがそれぞれ適切な画像を表示するために調整されます。
テレビやコンピュータの画面など、現代のモニターに表示されるすべてのものは、この仕組みで表示されます。各ピクセルの赤、青、緑のセグメントは、表示する情報に応じてマイクロ秒(1ミリ秒は1000マイクロ秒)の単位で変化します。
たとえば、海を航海するゲームをプレイしている場合、画面全体が青になるかもしれません。このような画像が表示されているときは、各ピクセルの赤いセグメントが著しく暗くなるか、完全に消えることがあります。
この変化は非常に高速で起こるため、肉眼では追跡できません。また、各ピクセルは非常に小さいため、それぞれの変化を具体的に確認することは難しいでしょう。さらに、モニターを近距離で見るのは目に良くないので、少し距離を置いて、リラックスしながら脳が視覚的な錯覚を処理するのを任せましょう。
現代のゲームにおけるfps
映画やテレビ番組、ビデオゲームは、見栄えを良くするためには12fps以上のフレームレートが必要です。最近まで、ビデオゲームでは30fpsが良好なアニメーションを実現するための最低限のフレームレートとされていました。現在では、最新世代のコンソール(たとえばプレイステーション5)では60fpsが標準とされています。
しかし、これがfpsの上限というわけではありません。新しい技術では、ゲームが120fpsやそれ以上のフレームレートに達することが可能です。とはいえ、開発者たちはこのような高いフレームレートをまだ一般的にしていません。現時点では、多くの手ごろな価格のモニターが60Hzまでしか対応していないため、多くのビデオゲームがこれ以上のフレームレートで制作されていないのです。
近い将来、技術が進化するにつれて120Hzのモニターが一般的になり、その価格も下がるでしょう。これは予測ではなく、事実です。その時点で、ビデオゲームは120fpsで定期的に制作されるようになるでしょう。
ゲームにおけるfpsが重要な理由
簡単に言うと、1秒間に表示されるフレーム数が多ければ多いほど、ゲーム内での出来事に対してプレイヤーが反応するチャンスが増えます。格闘ゲームやアクションRPGのようなテンポの速いジャンルでは、fpsの多さがゲーム体験の質に大きく影響します。
また、1秒間に表示されるフレームが多ければ多いほど、アニメーションが滑らかになり、ゲームの動きがより自然で滑らかに感じられます。これにより、高いフレームレートのゲームはより流動的でカクカクした感じが少なくなります。
30fpsでのゲームプレイ
まず、30fpsで動作するゲームを見てみましょう。このようなゲームでは、1フレームが1/30秒(約33ミリ秒)表示されます。人間の平均反応速度が150〜300ミリ秒であることを考えると、画面上で何かが起こるのを認識するまでに約5〜10フレームが必要です。
つまり、キャラクターが攻撃を受ける直前に、少なくとも5〜10フレームでその攻撃が来ることを認識し、さらに数フレームを使って適切な回避アクションを実行しなければなりません。熟練したゲーマーであっても、30fpsで15フレーム以内にすべての行動を完了するのは困難です。
比較として、『エルデンリング』の高速な近接攻撃はこれよりも遥かに速いことが多いです。たとえば、片刃の剣であるシミター(武器)の攻撃アニメーションは、30fpsではわずか3フレームで完了します。
動きの速いゲームでは、30fpsは非常に制約があり、反応時間が限られてしまいます。また、30fpsは瞬間的に多くの情報を処理するのが難しくなります。たとえば、まばたき1回にかかる時間は約300ミリ秒(30fpsでは10フレーム)ですが、この短いあいだにもゲーム内では多くのアクションが発生します。
30fpsのゲームでは、各フレーム間の情報は推測データで埋め合わされます。これにより、とくにアクションが激しい場面では、画面上の情報の正確さが低下することがあります。
60fpsでのゲームプレイ
60fpsでは、1秒間に表示される情報が倍になります。1フレームあたりの表示時間は約17ミリ秒です。これにより、ゲームがより滑らかに見えるだけでなく、プレイヤーが行動する余地も増えます。
情報量が倍増することで、画面上の表示がより正確になり、プレイヤーがより的確な判断を下せるようになります。また、反応できるフレーム数が増えるため、より寛容なゲームプレイが可能になります。
格闘ゲームでは、この効果がさらに顕著です。格闘ゲームはタイミングが非常に重要で、表示されるビジュアル情報が正確であればあるほど、プレイヤーに有利です。これにより、熟練したゲーマーが自身のスキルを磨くことで、反応速度の向上が報われるのです。
60fpsが30fpsより優れている理由の一例
たとえば、30fpsで攻撃が来た際に15ミリ秒遅れてパリィ(敵の攻撃を弾く)を行おうとすると、攻撃を受けてしまいます。このフレームレートでは、細かな動作を捉えるのが難しく、遅れた反応は次のフレームの始まりとして解釈されるため回避は間に合いません。
しかし、60fpsで同じ状況が起こった場合、15ミリ秒遅れてもパリィが成功する可能性があります。各フレームが約17ミリ秒で表示されるため、次のフレームが表示されるまえに反応が拾われる可能性があるのです。こうしたスピードでの反応は、運に左右される部分もありますが、重要な違いです。
つまり、30fpsの1フレーム(33ミリ秒)では、何をしても間に合いませんが、60fpsの2フレーム(1フレーム17ミリ秒)では、その間に入力を行う余地があります。