ヴィンセント・ヴァレンタインは、『ファイナルファンタジーVII』に登場するキャラクターです。彼とユフィ・キサラギは、ゲーム内で唯一のオプション(任意加入)キャラクターでもあります。また、ヴィンセントは2006年にプレイステーション2で発売された『ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-』の主人公でもあります。
元タークスのメンバーで、彼はゲーム内の主要な敵キャラクターたちと深い関係を持っていますが、その過去はゲームの大部分で謎に包まれたままです。
外見と性格
身長は184センチ。スレンダーで肌が白く、長い黒髪に鮮やかな深紅の瞳を持っています。外見上は20代後半で、肩から顔の下半分までを覆うボロボロの赤いマントを身に着けており、その胸部は黒と銀のバックルで固定されています。額には赤いバンダナを巻き、前髪が布の上に垂れています。マントの下には、ヴィンセントの全身を覆う黒いレザーの衣装を着ていて、それもさらにバックルで体にぴったりと固定されています。彼の左腕には金色の籠手を装着し、右腿には銃のホルスターが巻きつけられています。また、先の尖った金のサバトン(鉄靴)を履いています。
自分の過去について話す時には、曖昧で謎めいた表現をすることが多いヴィンセントは、非常に無口で、ゲーム内の台詞も非常に少なく、本当に重要なことがある時しか話しません。冷淡に見える彼の態度は、その過去のトラウマによるものだと考えられます。自然に孤独を好むヴィンセントは、クラウドに非常に似ていると言われていますが、彼よりもはるかに成熟しています。
『ファイナルファンタジーVII』でヴィンセントがクラウドに同行するのは、彼が宝条博士に対して強い個人的な憎しみを抱いているからです。20年まえ、ヴィンセントは宝条銃撃され、その後、宝条は彼を使って人体実験を行いました。
キャラクターデザイン
最終デザインが確定するまえに、ヴィンセントのキャラクターは何度も変更されました。タークスの元メンバーとして設定されるまえは、彼はホラーテラー(恐怖研究家)、探偵や科学者として構想されていたと言います。彼の武器として銃が選ばれるまえ、本作のゲームクリエイターである野村哲也氏はヴィンセントに大鎌を持たせることを考えており、初期のキャラクターアートにはそれが強調されています。
同作のシナリオライターである野島一成氏が、ヴィンセントの悲劇的な過去を執筆しました。野島はまた、『ファイナルファンタジーVIII』、『ファイナルファンタジーX』、『キングダム ハーツ』、『ファイナルファンタジーX-2』、『クライシスコア』、および他の多くのシリーズ作品でもシナリオライターを務めています。ゲームの初期脚本では、ヴィンセントはもっとウィットに富んだ、軽口をたたく皮肉屋として描かれていましたが、その後、彼の性格はより静かで真面目なものに変更されました。野島氏は最終的には、ヴィンセントのセリフを書くのに苦労したと説明しており、キャラクターが非常に無口で真剣な性格になったためだと述べています。
ヴィンセントの声は、日本語版では鈴木省吾氏、英語版ではスティーヴン・ブルーム氏が担当しました。鈴木がキャスティングされたのは、野村がクラウドとヴィンセントの声を可能な限り対照的にしたかったからです。鈴木は低い声で、ヴィンセントの「感情を可能な限り抑え込むように」演じたと語っており、彼の冷淡さを表現することに努めたと述べています。
幼少期
タークス
『ファイナルファンタジーVII』の物語が始まる約30年まえ、ヴィンセントは神羅電気動力会社の総務部調査課、通称タークスの一員でした。彼はニブルヘイムでのジェノバプロジェクトを監視する任務を負い、その後、科学者でありガスト・ファレミスの助手であったルクレツィア・クレシェントと恋に落ちます。
ルクレツィアはヴィンセントの父、グリモア・ヴァレンタインとともにカオスとオメガの研究に携わっていました。カオスが目覚めるとされる洞窟を発見した後、グリモアは実験が失敗した際に死亡しました。彼はルクレツィアを爆発から守り、その結果、彼女は大きな罪悪感を抱くことになりました。ヴィンセントがグリモアの息子であることを知ったルクレツィアは、ヴィンセントとの距離を置き、代わりに同僚の宝条と関係を持ち始めます。
その関係が始まって間もなく、ルクレツィアは妊娠しました。宝条はすぐに、胎児をジェノバプロジェクトのおもな被験者として利用することを計画し、ヴィンセントはそれに衝撃を受けます。しかし、ルクレツィアは同意し、その結果、彼女はすぐに病に倒れました。
ヴィンセントは神羅屋敷の地下研究室で宝条と対峙し、銃で胸を撃たれます。宝条は瀕死のヴィンセントの体を実験台として使用し、彼の体を限界まで追い込んで、彼に複数の怪物の形態に変身する能力を与えました。この実験の過程で、ヴィンセントの体は非常に強化されましたが、彼は死に近い状態に陥り、実験は無意味なものとなりました。
ルクレツィアはヴィンセントを蘇らせようと考え、彼の体にカオスを注入した魔晄を移植しました。驚くべきことに、この試みは成功し、ヴィンセントの超強化された体はカオスという神秘的な存在を封じ込めることができるほど強力になりました。ただし、カオスを制御する唯一の方法は、グリモアが発見し、ルクレツィアの研究室に保管されていた唯一無二のエンシェントマテリアを使うことでした。ルクレツィアはヴィンセントを助けるために、彼の胸にエンシェントマテリアを埋め込み、カオスをある程度制御できるようにしました。
手術台の上で目覚めたヴィンセントは、自分が何になったのかを見て恐怖に陥ります。カオスとの融合の結果、ヴィンセントは超人的なスピード、強さ、敏捷性、持久力、再生能力を手に入れました。また、彼は複数の形態に変身することも可能になりました。これらの能力の多くは今後の役に立つものではありましたが、ヴィンセント自身はこれらの変異を苦しみの源としか見なしていませんでした。
神羅屋敷の地下での眠り
宝条がルクレツィアの子どもに行った実験に対する深い罪悪感から、ヴィンセントは自らを"罪"として見なし、神羅屋敷の地下にある棺に閉じこもりました。彼は約20年以上にわたって、ほとんど誰にも邪魔されることなく眠り続けます。
この期間中、ヴィンセントが目覚めるのは『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』のエピソード19だけです。ヴェルドがジルコニアエイドを召喚するためのサポートマテリアを探して神羅屋敷を訪れた際、地下室でヴィンセントを発見し、彼を目覚めさせます。外見こそ異なるものの、ふたりは互いを認識し、ヴィンセントは元同僚を助けるために協力し、神羅屋敷に保管されていたサポートマテリアを手渡しました。この後、ヴィンセントは再び眠りに戻ります。
『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』では、ザックス・フェアが地下から聞こえる奇妙なうめき声を聞き、棺を開けてなかで眠っているヴィンセントを発見します。しかし、ザックスは謎めいた男を邪魔することなく、棺の蓋を閉じてその場を去ります。
『ファイナルファンタジーVII』において
クラウドはニブルヘイムの神羅屋敷の地下で、棺に眠るヴィンセントを発見します。寡黙なヴィンセントを説得して仲間に加えるのは容易ではなく、セフィロスについて話を聞いたヴィンセントは、彼がルクレツィアの子であることを知り、過去の罪から逃れたいと感じます。彼は再び眠りにつこうとしますが、クラウドが宝条が道中に現れるであろうことを告げると、ヴィンセントは狂った科学者への復讐を求めて同行することを決意します。
一行がルクレツィアの洞窟を見つけた際、ヴィンセントの過去の記憶が明かされます。そこには、ヴィンセントが撃たれ、その後に行われた実験に繋がる口論の場面も含まれています。ルクレツィアはセフィロスについてヴィンセントに尋ねますが、彼は彼女に真実を告げることを避け、息子がどうなったかを隠すため、セフィロスは死んだと答えます。
クラウドたちは兵器シスター・レイと対峙します。予想通り、法条はルクレツィアを自身の目的を達成するための道具としてしか見ていなかったことを認め、最終的にパーティによって倒されます。
ユフィとヴィンセントは『ファイナルファンタジーVII』では任意で加入できるキャラクターであったため、エンディングムービーには登場しません。しかし、『ダージュ オブ ケルベロス』では、ふたりがセフィロスとの最終決戦中、ミッドガルに戻り、メテオが衝突するまえに住民を避難させたことが描かれています。さらに、『アドベントチルドレン』では、ユフィとヴィンセントは他の仲間たちとともにセフィロスと戦う姿が描かれています。
リミット技
ヴィンセントがリミット技を発動すると、戦闘が終了するかヴィンセントが倒されるまで制御不能のモンスターに変身します。変身すると、彼のステータスが上昇し、HPも全回復します。この形態は非常に強力ですが、変身中のヴィンセントはバーサク状態となり、プレイヤーが彼の攻撃を操作することはできません。リミット技中でも防御系のマテリアは効果を発揮しますが、彼が装備している武器に付与された属性や追加効果は引き継がれません。
ヴィンセントの最終リミット技"カオス"と最強武器"デスペナルティ"は、ルクレツィアのほこらで見つけることができます。
『ファイナルファンタジーVII』の後
2009年、スクウェア・エニックスは、『ファイナルファンタジーVII』と映画『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』のあいだのストーリーの空白を埋めるため、短編小説集『On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII』をリリースしました。この小説は主要なキャラクターを中心に描かれた章で構成されており、2018年10月には英語版も発売されました。
ヴィンセントは"ユフィ編"と"ナナキ編"の両方に登場し、とくに後者の章でより重要な役割を果たします。"ユフィ編"では、古代種の都で一行から別れ、簡単な別れの言葉をつぶやくのみです。シドは、ヴィンセントがルクレツィアの元に戻る可能性が高いと指摘します。
"ナナキ編"では、ヴィンセントはタークスのヘリコプターを追跡する旅に出ます。ニブルヘイム近くのキャンプに到着し、ヴィンセントはレッドXIIIが小屋を襲撃するのを見て、彼を撃ち倒します。レッドXIIIの誤解を説明した後、ヴィンセントはすぐにその場を去り、後に忘らるる都で再会します。レッドXIIIは、自分の長い寿命ゆえに愛する者を失うことへの恐怖を語り、ヴィンセントは自分が不死であることを伝えて彼を慰めます。ふたりは毎年ミッドガルで会うことを約束します。
『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』において
『ファイナルファンタジーVII』の出来事のあと、ヴィンセントは世界中を旅し、ときおり仲間と連絡を取りながらも、困っている人々を助けていました。彼はカダージュ、ロッズ、ヤズーというセフィロスの残留思念に関する噂を追い始めます。この3人の若者は、映画の主要な敵対者です。忘らるる都にいると言われていた彼らを追って、ヴィンセントは元タークスのツォンとイリーナを3人から救出します。その後、彼らの回復を手伝い、残留思念についてできるだけ多くの情報を集めます。カダージュとの戦いに急行し、ヴィンセントはクラウドを救い、近くの森の奥深くへと運びます。
ヴィンセントはクラウドに、世界中で新たに広がり始めた病"星痕症候群"について伝え、またセフィロスの再誕の可能性にも言及します。クラウドはエアリスとザックスの死に対する自責の念を抱え、「罪が許されることはあるのか?」とヴィンセントに問います。ヴィンセントは「試したことがない」と答え、クラウドは「試してみる」と決意します。
映画の終盤、ヴィンセントはアバランチの他のメンバーとともにバハムート震に立ち向かいます。ヴィンセントがチームのなかで唯一携帯電話を持っていないことが言及されます。
飛空艇シエラ号の中で、ヴィンセントはカダージュがセフィロスの「幼生のような存在」であり、やがて成長して『ファイナルファンタジーVII』のヴィランとして復活することを説明します。
ボーナス映像『Reminiscence of Final Fantasy VII』では、ヴィンセントがクラウドに電話をかけ、ついに携帯電話を手に入れたことを暗示しています。彼はユフィが自分に電話をするのは望ましくないとも述べています。
『ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-』にて
2006年に発売された『ダージュ オブ ケルベロス』は、ヴィンセントを主人公としたアクションRPGです。『ファイナルファンタジーVII』の3年後、『アドベントチルドレン』の1年後が舞台となり、シリーズ初のシューティングゲームとして、リアルタイムで戦闘が行われます。
プレイヤーは一人称視点と三人称視点を切り替えることができ、後者は肩越しの視点を採用しています。敵を倒して経験値(EXP)を獲得し、このEXPを使ってレベルを上げたり、ギルを稼いだり、ヴィンセントのステータスを向上させたりできます。ヴィンセントのリミット技である"ガリアンビースト"と"カオス"は、本作でも使用可能です。
開発
『ビフォア クライシス』、『ダージュ オブ ケルベロス』、『クライシス コア』は、『アドベントチルドレン』の初期開発に続いて、『ファイナルファンタジーVII』の世界を掘り下げるために発表されました。『ダージュ オブ ケルベロス』のプロデューサー北瀬佳範氏は、シューティングジャンルが好きであったため、このゲームをガンシューティングとして計画しました。彼は、物語重視の作品が多かった開発チームに新しい挑戦をさせる目的もありました。その後、RPG要素が開発期間中に追加されました。当初ヴィンセントは『ファイナルファンタジーVII』でプレイ可能なキャラクターではなかったため、その背景について多くが説明されておらず、彼を中心としたゲームの制作はファンと開発者にとって魅力的なものでした。
2004年9月に最初に発表され、日本では2006年1月に発売されましたが、開発過程では多くの困難がありました。E3(Electronic Entertainment Expo)でデモを公開する予定でしたが、コントロール問題の修正に追われて実現しませんでした。また、ベータテストプログラムも中止されました。
北米では2006年8月、ヨーロッパでは同年11月に発売され、これらの地域で大幅な変更が加えられました。オンラインマルチプレイヤーとプレイステーション2のHDDのサポートは削除され、日本版にあったイージーモードも削除されました。
キャラクターデザインには野村哲也氏が担当し、人気歌手GACKTがテーマソング『Longing/Redemption』を提供し、ゲーム内キャラクター"G"のインスピレーションとなりました。
『ダージュ オブ ケルベロス』のストーリー
世界的なネットワークが復旧するなか、ヴィンセントはカームの街に滞在しており、祝典が行われていました。ところが、見知らぬ兵士の一団が乱入し、市民が連れ去られます。ヴィンセントが追われている身であることには気づかずにゲームが始まります。まもなくアスールという男と少女が現れ、エンシェントマテリアの場所を教えるよう要求されます。ヴィンセントが応じる間もなく、少女が気を失い、彼らはWRO(世界再生機構)とともに退却します。カームが安定すると、ヴィンセントは元神羅幹部のリーブ・トゥエスティと再会します。
リーブは、平和がすぐに保証されるわけではないと説明します。ミッドガル郊外の新しい街エッジが攻撃を受けているのです。謎の兵士たちはディープグラウンドの一員で、神羅ビルの地下で行われた秘密実験により生み出された超兵士部隊です。これらの兵士には道徳心がなく、命令を厳密に守るため、非常に危険です。アスールはエリート部隊"ツヴィエート"に属し、カームでの事件は最初のものではなく、世界各地で人々が行方不明になっていると知ります。
ヴィンセントがエッジに到着すると、街はほとんど無人でしたが、すぐにもうひとりのツヴィエートであるロッソ(朱のロッソ )と出会います。アスールと同様にロッソもエンシェントマテリアを要求し、ディープグラウンドが"オメガ"という星によって作り出された最終兵器を制御するために必要だと説明します。ふたりが戦闘を開始すると、ヴィンセントは自分の意思に反してカオスに変身し、容易にロッソを倒しますが、自身も倒れます。WROの科学者シャルア・ルーイがヴィンセントを見つけ、WRO本部に連れて行き、ヴィンセントはカオスとオメガに関するルクレツィアとの関係を知ります。
その後、ディープグラウンドの分隊を率いるアスールが、カームで見かけた少女を連れて本部に突入します。驚いたことに、シャルアは少女が長年行方不明だった妹シェルク・ルーイであると認識します。シェルクはディープグラウンドで10年間拷問を受けた過去があり、理性を失っていますが、ヴィンセントは彼女を倒して眠らせた後、アスールも制圧します。
必要な答えを求め、ヴィンセントはニブルヘイムの神羅屋敷へ向かい、ルクレツィアのホログラムを見つけます。オメガに関する科学者のデータは屋敷に残されていましたが、それをロッソに奪われ、ヴィンセントは彼女に不意打ちされ、胸からエンシェントマテリアを引き剥がされます。すると、ユフィが現れ、ヴィンセントを救います。
数日後、ヴィンセントがWRO本部に戻ると、再びディープグラウンドのエージェントたちで溢れていました。アスールは、ヴァイスの命令でWROがシェルクからルクレツィアのデータを抽出するのを阻止するため、シェルクを殺そうとします。この戦闘のなkで、シャルアはシェルクに別れを告げながら腕を失い、ヴィンセントに妹の世話を頼みます。シャルアはアスールに襲われ、昏睡状態に陥ります。シャルアがほとんど知らないシェルクのために命をかけたことに困惑したシェルクは、ヴィンセントに理由を尋ねます。ヴィンセントの返答は、シェルクのなかに残っているルクレツィアの記憶を引き出すきっかけとなります。
ヴィンセントがリーブに渡した"オメガレポート"は未完成であることが判明します。完全なレポートがなければ、WROはディープグラウンドの基地への総攻撃を仕掛けることができません。シェルクは、自分が以前、エンシェントマテリアを探すためにルクレツィアのデータの一部を吸収したことを説明し、WROを助け、そして自身の心を解放するためにそのデータを提供することを申し出ます。
センシティブ・ネット・ダイブを通じて、シェルクはオメガについての深い理解をグループに提供します。シエラ号にて、WROはついにディープグラウンドの真の目的を理解します。それは、ジェノバ細胞によって影響されていない多くの人々を犠牲にし、より純粋なライフストリームを生み出してオメガを目覚めさせ、世界を破壊するというものでした。
シェルクはヴィンセントの携帯電話を改造し、彼がミッドガルの戦いのあいだ、直接連絡を取れるようにします。アバランチの元メンバーの支援を受けて、WROはディープグラウンドへの空と地上からの攻撃を開始し、ヴィンセントは7番街の廃墟へと降下し、敵の要塞に潜入しようとします。再びロッソが現れますが、敗北した彼女は敵に殺されるよりも自ら命を絶つことを選びます。彼女は自殺するまえに、アスールがヴィンセントを待っていることを伝えます。
ヴィンセントが神羅ビルに近づくと、カオスが再び彼の体を支配し始めます。ルクレツィアの声で、シェルクはカオスの本質とその制御に必要なエンシェントマテリアの重要性を説明します。カオスの力を借りて、ヴィンセントは簡単にアスールを倒し、その後に死亡しているヴァイスを発見します。彼はヴァイスの兄弟であるネロと出会い、シェルクが彼のなかに囚われ、永遠の暗闇に閉じ込められていることを説明されます。ヴィンセントもこの暗闇に飲み込まれますが、カオスの影響のおかげで完全に影響を受けません。
ヴァイスが目覚め始めると、彼が3年まえに魔晄キャノンで死亡した宝条の精神に取り憑かれていることが明らかになります。そのまえに、科学者は自分の意識を世界的なネットワークにアップロードしていました。かつては自らにジェノバ細胞を注入し、オメガと融合することで体を完成させることを目指していましたが、意識のアップロードはその予備計画であり、成功を収めていました。宝条はディープグラウンドを使い、自身の陰惨な目的を続けていたのです。
ヴィンセントが完全にカオスに変身しかけたとき、ルクレツィアのホログラムが現れ、彼にカオスの力を使いつつも人間の姿を保つよう懇願します。ヴィンセントはヴァイスを倒し、ついに宝条は完全に滅ぼされます。主要な魔晄炉が再起動され、計画通りオメガが召喚されます。ヴィンセントもカオスに変身しますが、シェルクがエンシェントマテリアを取り戻し、それをヴィンセントに戻すことで彼は再び自己の制御を取り戻すことができました。ルクレツィアはヴィンセントに与えた苦痛について謝罪し、彼はオメガを倒すために飛び立ちます。
これらの出来事から1週間後、ヴィンセントはルクレツィアのほこらに姿を見せます。自らの"罪"をついに許し、彼はオメガとカオスが星に帰還したこと、そして彼女が命を救ってくれたことに感謝の意を伝えます。ほこらの外ではシェルクが彼を待っており、彼女のなかにルクレツィアの面影を見て、ヴィンセントは微笑み、物語が幕を閉じます。
他の『ファイナルファンタジー』シリーズでの登場
ヴィンセント・ヴァレンタインは、以下の『ファイナルファンタジー』シリーズのタイトルでプレイアブルキャラクターとして登場します。
- ディシディア ファイナルファンタジー オペラオムニア
- ピクトロジカ ファイナルファンタジー
- シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール
- ファイナルファンタジー レコードキーパー
ヴィンセントは、『ファイナルファンタジー ブリゲード』では召喚可能なレジェンドとして、また『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』ではビジョンとしても登場します。
さらに、『メビウス ファイナルファンタジー』と『ワールド オブ ファイナルファンタジー』にも登場しますが、どちらでもプレイアブルキャラクターではありません。
『ビフォアクライシス -ファイナルファンタジーVII-』 では、トレーニングモードのボスとして登場します。
ヴィンセントは以下のゲームでカードとしても登場します。
- ファイナルファンタジー アートニクス
- ファイナルファンタジー トレーディングカードゲーム
- トリプルトライアド
2014年11月には、『ガンスリンガー ストラトス2』にヴィンセントのコラボ衣装がリリースされました。
また、1998年にリリースされたアーケード対戦ゲーム『エアガイツ』にも登場し、ティファでゲームをクリアすることでシークレットキャラクターとして解放されます。同年にプレイステーションにも移植されました。
その他
- ヴィンセントはラテン語で「征服する者」や「勝利者」を意味します。ヴァレンタインはローマの名前「Valentinus」から派生し、その語源「valens」は「強く健康な」という意味です。
- ヴィンセントのコスチュームは『リトルビッグプラネット2』のDLC(ダウンロードコンテンツ)として登場しました。
- 推定50歳以上であるヴィンセントは、『ファイナルファンタジー』シリーズにおける最年長のプレイアブルキャラクターです。
- 制作時間の制約により、ヴィンセントは当初『ファイナルファンタジーVII』でプレイアブルキャラクターにする予定ではありませんでしたが、後半のオプションキャラクターとして追加されました。
- ヴィンセントとユフィのポートレートは右を向いています。他のキャラクターのポートレートはすべて左を向いています。
- 初代『キングダムハーツ』にヴィンセントを登場させる予定もありましたが、最終的にクラウドが選ばれました。