
重要なポイント
- 『ファイナルファンタジーVII』には、隠された口と目のテクスチャが存在します。
- これらの未使用テクスチャは1998年のPC版で登場し、不気味なキャラクターデザインを生み出しました。
- これらの発見は、ゲームに存在した多くの廃止された機能や未完成のコンセプトを反映しています。
『ファイナルファンタジーVII』はつねに秘密の宝庫であり、発売から数十年経ったいまでも奇妙な発見が次々と明らかになっています。そのなかでもとくに奇妙なのが、オリジナルのプレイステーション版に存在した、未使用の"キャラクターの口"のテクスチャ画像データ(※1)です。
しかし、オリジナル版『ファイナルファンタジーVII』では、"口のないモデル"に置き換えられたようで、テクスチャ画像データが放棄されたかに思われていました。しかし、1998年にリリースされたのPC版(英語版)で突然ぎこちなく"キャラクターの口のテクスチャ"が登場しました。その結果、クラウドや仲間たちはつねにあくびをしたり、叫んだり、単に不気味な見た目になっていました。
口の謎
『ファイナルファンタジーVII』のプログラムデータを掘り下げることは、未完成のアイデアや放棄された野望が詰まったタイムカプセルを開けるようなものです。それは、実現しなかった可能性の"デジタル墓場"でもあります。
たとえば、"蜜蜂の館"を見てみましょう。オリジナルの日本版では明らかに風俗店であり、際どい内容が含まれていましたが、インターナショナル版ではスクウェアがそのすべてを取り除きました。
また、プログラムデータのなかに、"(Lawyer's Materia)弁護士のマテリア"というアイテムがあり、それはプレイヤーにギル投げの能力を与えるものでした。しかし、実際のゲームのどのバージョンにも登場していません。
ほかにも、"古えの森"という場所は、そもそもゲームの必須ダンジョンになる予定だったようですが、けっきょくどこか辺鄙な場所に取り残された、ゲーム終盤の好奇心をくすぐるだけの存在になりました。
しかし、本当の奇妙さはキャラクターモデルにあります。未使用のマテリアや忘れられた舞台装置とともに、ゲームのプログラムデータの奥深くに隠されているのは、すべてのプレイアブルキャラクター(と、そしてなぜかザックス・フェア)の目と口のテクスチャです。
プレイステーション版では、目のテクスチャは開いているものと閉じているものの2種類だけが使用されました。まばたきや眠っているときに見られるものです。例外として、クラウドの夢のシーンでのエアリスの笑い目や、コレルの回想シーンでのバレットの驚いた表情があります。しかし、それ以外の、感情を伝えるためにデザインされたテクスチャは、日の目を見ることはありませんでした。

クラウドの未使用の目のバリエーション。
口のテクスチャも同様のパターンに従っていました。各キャラクターには"開いた口"と"閉じた口"の2種類がありましたが、プレイステーション版ではほとんど使用されませんでした。例外として、ゴールドソーサーのシーンでのシドの開いた口や、ハイウインドでの場面でのティファの閉じた口が挙げられます。
1998年にリリースされたPC版(英語版)で、これらの"口のテクスチャ"がデビューを果たしました。ようは、オリジナル版のデータから直接復元されて有効化されたのです。その結果どうなったかというと、キャラクターたちは奇妙で、つねに口を開けたままの風刺画のようになってしまいました。ジェシーの口はミッドガルを飲み込めそうなブラックホールのように見え、セフィロスの口は、彼が7フィートの刀を持っていることを忘れさせるほど不気味でした。
これらのテクスチャが、その直後のバージョンで再び静かに葬り去られたのも無理はありません。
これらの未使用コンテンツすべてが、野心的でありながら多くの制約を抱えたゲームの姿を浮き彫りにしています。開発者たちはプレイステーションの限界に挑みましたが、その過程でデジタルなパンくずのような痕跡を残したのです。