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ファイナルファンタジーVII

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スラムの教会


作成日 2025 年 04 月 09 日

編集を提案

スラムの教会は、ミッドガルの伍番街スラムに位置する小さな廃墟の教会である。『ファイナルファンタジーVII』全体にわたって登場し、物語の中心人物のひとりであるエアリス・ゲインズブールと深い関わりがあることから、物語的にも象徴的にも重要な意味を持っている。

ミッドガルの汚染され工業化された環境のなか、魔晄炉の存在により肥沃な土壌が希少であるにもかかわらず、この教会は自然に花が咲く数少ない場所のひとつである。この現象は、教会の屋根に空いた穴から日光と雨が地面に届くこと、そして建物の下にライフストリームを豊富に含む水が存在することに起因している。エアリスはここで花の世話をしており、教会はスラムの過酷な環境なか中にあって、安らぎと希望の場所となっている。

歴史

『ファイナルファンタジーVII』以前

初期の歴史

スラムの教会はもともと礼拝の場として建てられ、人々が祈りを捧げ、慰めを求めて訪れる場所であった。時が経つにつれて宗教への信仰が薄れ、教会は次第に放棄され、荒廃していった。

ある時点で、神羅カンパニーの宇宙開発計画による初期の試作ロケットである神羅26号が教会に墜落した。ロケットは爆発しなかったものの、衝撃により建物に目に見える構造的損傷が生じ、屋根には大きな穴が開いた。

ザックスの到着(『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』)

『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』において、ザックス・フェアは伍番魔晄炉での任務中に屋根を突き破ってスラムの教会に落下し、初めてこの場所に到着する。彼は花畑の上で意識を取り戻し、エアリス・ゲインズブールと初めて出会う。

この出会いをきっかけに、ザックスは定期的に教会を訪れるようになり、エアリスとの関係はじょじょに深まっていく。ある日、彼らは教会でアンジールコピーと遭遇する。アンジールコピーはザックスの師に似た姿をした存在で、神羅の兵士たちから彼らを守る。脅威ではないと判断したザックスとエアリスは、その存在を教会で休ませることにする。

誘拐未遂(『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』)

『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』において、エコテロリスト集団アバランチは、エアリス・ゲインズブールがセトラの末裔であることを知り、彼女を誘拐しようとする。彼女はスラムの教会に連れてこられ、アバランチのメンバーであるフヒトとエルフェが、約束の地の所在を明かすよう説得を試みる。

プレイヤーが操作するタークスは、神羅によってエアリスを保護するために派遣される。タークスは誘拐の最中に介入し、エアリスの逃走を助ける。その後まもなく、タークスのもうひとりのメンバーであるツォンがエアリスと話すために現れるが、プレイヤーのタークスはツォンが脅威であると誤って判断し、接触を阻止する。

オリジナルの時間軸

クラウドの到着(『ファイナルファンタジーVII』)

『ファイナルファンタジーVII』において、クラウド・ストライフは伍番魔晄炉から落下し、スラムの教会の屋根を突き破って墜落する。彼は花畑の上に着地し、そこでエアリス・ゲインズブールに発見される。これがふたりの初めての出会いとなる。

その直後、タークスのレノが神羅の兵士を伴ってエアリスを捕らえに現れる。エアリスはクラウドに"デート1回"を報酬にボディーガードを頼み、ふたりは教会の屋根を通っていっしょに逃げ出す。

物語の後半、エアリスの死後、パーティがミッドガルに戻った際に教会で彼女の幽霊のような姿が現れる。その幻影は近づくと消えてしまい、この出来事についての説明はなされていない。

星痕症候群の危機(『ファイナルファンタジーVII アドベント チルドレン』)

『ファイナルファンタジーVII アドベント チルドレン』において、スラムの教会は星痕症候群という多くの人々に影響を及ぼす謎の致死性疾患との戦いにおいて重要な場所となる。教会の下にあるライフストリームに満ちた水は、治癒の力を持つことが示されている。

クラウドは、過去の出来事に対する孤立と罪悪感のなかで、教会を避難所として使用する。彼はそこにマテリアを保管し、友人を含む他者との接触を避けている。

最終決戦のなかで、エアリスの大いなる福音が教会内で発動され、癒しの雨を降らせることでクラウドの星痕症候群を治す。クラウドはまた、教会でエアリスとザックスの幻を見ることで、慰めと心の安らぎを得る。

『ファイナルファンタジーVII リメイク』の時間軸

クラウドの再覚醒

『ファイナルファンタジーVII リメイク』において、クラウドは伍番魔晄炉での任務中に上層プレートから落下し、スラムの教会で目を覚ます。彼は、教会のなかで花の世話をしているエアリスに迎えられる。

ふたりの会話は、エアリスを捕らえるために神羅の部隊を率いて現れたレノによって中断される。彼女はふたたびクラウドにボディーガードを頼み、その見返りとしてデートを提案する。クラウドはレノと一騎打ちをするが、戦いがさらに激化するまえに、フィーラーと呼ばれる謎の存在が介入し、クラウドとエアリスを引き離す。ふたりは教会の上層部や屋根を通っていっしょに逃げ出す。

サイドクエストと再訪

『ファイナルファンタジーVII リメイク』のチャプター14では、サイドクエスト中にスラムの教会を再訪する。クエストのひとつである"おてんば盗賊"では、キリエ・カナンというキャラクターが教会に隠れているのが見つかる。

キリエは、コルネオ・コロッセオで詐欺を仕組んだ後にトラブルに巻き込まれたことを認める。クラウド、ティファ、バレットは彼女の代わりに戦い、事態を解決する。その後、彼らは教会に戻り、キリエの祖母であるミレイユが彼らの助けに感謝し、キリエが無事であることに安堵する。

地理と構造

スラムの教会は、ミッドガルの伍番街スラム内の静かな地域に位置している。教会は、工業的で荒廃した環境のなかにあっても、穏やかな雰囲気と自然に咲く花々の存在によって際立っている。

教会のおもなエリアは礼拝堂であり、中央の花畑に向かって並ぶベンチの列がある。花の周囲の床板は壊れており、屋根の大きな穴を通して光と雨が土に届くようになっている。礼拝堂の奥には屋根裏部屋へ続く階段があり、そこは試作ロケット(神羅26号)の墜落により一部が損傷している。

屋根裏部屋には箱やコンテナなどの収納物が置かれており、屋根への通路がある。この屋根は、オリジナル版とリメイク版の両方で脱出経路として使用される。

教会の外観は、『ファイナルファンタジーVII』の各タイトルでわずかに異なっている。『ファイナルファンタジーVII』および『ファイナルファンタジーVII アドベント チルドレン』では、教会はミッドガルの外縁付近にあり、内向きに面しているように描かれている。しかし、『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』および『ファイナルファンタジーVII リメイク』では、外向きに面し、伍番魔晄炉からより離れた位置にあるように描かれている。

宗教的側面

スラムの教会はもともと、"神"と呼ばれる唯一神を崇拝するために使用されていた。訪問者たちは教会に祈りを捧げに来ており、しばしば亡くなった人々を思い出し、交流する手段として祈りが用いられていた。

教会の宗教に関する具体的な信仰内容は詳細に語られていないが、いくつかの要素は、星と対話する能力を持っていた古代種族セトラの精神的な儀式に似ている。祈りを通じて死者とつながるという考えかたは、死後にすべての命が戻るとされるライフストリームに対するセトラの信仰と共通している。

教会の設計には、初期キリスト教の図像に似た宗教的なシンボルが含まれている。礼拝堂にあるシンボルのひとつには、ギリシャ語で"イエス・キリスト"を意味する"IXモノグラム"が描かれているように見える。これは、コンスタンティヌスの十字としても知られるカイロー(記号)と似ている。

教会はまた、現実世界の宗教的建造物からインスピレーションを受けている可能性がある。有力な影響のひとつとして、メキシコシティにあるグアダルーペの聖母大聖堂が挙げられる。この大聖堂は、聖母マリアの出現が報告されたあとに建てられ、季節外れの花が奇跡的に咲いた場所として知られている。これは、通常は不毛であるミッドガルのスラム街で花が咲いているという異常な現象と類似している。

ゲームプレイ

『ファイナルファンタジーVII』

オリジナルの『ファイナルファンタジーVII』においては、クラウドが伍番魔晄炉から落下したあと教会で目を覚まし、エアリスと出会う。レノと神羅の兵士たちが彼女を捕らえに現れると、エアリスはクラウドに自分を守ってほしいと頼む。

逃走中、プレイヤーは教会の屋根裏部屋に保管されている樽を使ったミニゲームに参加する必要がある。クラウドが上から樽を押すことで、それを落としてエアリスを追ってくる敵を妨害したり倒したりできる。このシークエンスの結果は、プレイヤーのタイミングと樽の選びかたによって決まる。

『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』

『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』において、スラムの教会はタークスとアバランチの対決が描かれる重要なエピソードの舞台となる。アバランチがエアリスを誘拐しようとしたあと、教会内でボスバトルが発生する。

このエピソードには、重要な物語シーンも含まれている。プレイヤーが操作するタークスはエアリスを保護するために派遣され、アバランチのメンバーであるフヒトおよびエルフェとの対決に発展する。その後、ツォンがエアリスと話すために教会に到着するが、プレイヤーのタークスがツォンを脅威と誤認し、接触を阻止してしまう。

『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』

『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』において、スラムの教会はザックス・フェアにとって繰り返し訪れる場所となる。エアリスとの最初の出会いの後、ザックスは頻繁に教会を訪れて彼女と時間を過ごし、これらの訪問を通じてふたりの関係はじょじょに発展していく。

教会はまた、ザックスがエアリスのために花売り用ワゴンを作るのを手伝うという、サイドクエストにも関連している。プレイヤーは材料を集めて、さまざまなバージョンのワゴンを完成させることができる。

『ファイナルファンタジーVII リメイク』

『ファイナルファンタジーVII リメイク』において、スラムの教会はチャプター8とチャプター14で訪れることになる。最初の登場はチャプター8"再会の花"で、クラウドが伍番魔晄炉から落下し、エアリスと出会ったあとである。教会内ではレノとのボスバトルが発生し、クラウドが単独で戦う。この戦闘中、プレイヤーはシャンデリアを落として敵にダメージを与えることができ、これはオリジナル版における樽のミニゲームを彷彿とさせる演出となっている。

チャプター14"希望を求めて"では、いくつかのサイドクエスト中にふたたび教会を訪れることができる。プレイヤーは、エリア内の特定のクエストを完了するために必要なチャクラや薬効の花などのアイテムを回収することができる。

音楽テーマ

スラムの教会は、『ファイナルファンタジーVII』の各シリーズ全体において、いくつかの印象的な音楽テーマと関連付けられている。

オリジナルの『ファイナルファンタジーVII』では、教会で流れるテーマは『教会に咲く花』であり、これはエアリスのテーマのアレンジである。この楽曲は、教会の穏やかで内省的な雰囲気を強調しており、のちの作品にも再利用されている。

『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』では、『背負うもの』という新たなアレンジが使用されており、ザックスとエアリスのやり取りに感情的な深みを加えている。

『ファイナルファンタジーVII アドベント チルドレン』では、エンディングシーンで『Cloud Smiles』が教会の場面において流れ、癒しと安らぎの感情を表現している。

教会とその関連音楽は、『シアトリズム』のゲームにも登場する。『Cloud Smiles』および『スラムに咲く花』(エアリスのテーマのアレンジ)がフィールドミュージックやバトルミュージックのシーンで使用され、背景には教会の花畑が描かれている。

舞台裏

開発

『ファイナルファンタジーVII リメイク』において、プレイヤーは教会でのボスバトルまえに、エアリスに話しかけずに出口へ向かうことで、レノの隠されたセリフを発生させることができる。このセリフはオリジナル版の同様の場面を参照しており、長年のファンへのオマージュとして追加されたものである。

教会はまた、『FF7R EPISODE INTERmission』にも登場し、ザックスがこの建物を訪れ、なかが避難民で溢れているのを目にする。これらのキャラクターは、本編のオープニング映像に登場する人々と同一人物であるように見え、物語の時間軸に連続性があることを示唆している。

スラムの教会で花が咲く理由は、ミッドガルの不毛な環境にもかかわらず、伍番街スラムの外れを流れる川の存在によって説明される。この川はライフストリーム由来の栄養豊富な水を教会およびエアリスの家へ運んでいる。さらに、セトラ、すなわち古代種としてのエアリスの血筋が、こうした環境下でも花を育てる力に貢献している。

ポピュラーカルチャーにおける登場

スラムの教会は、2018年1月に日本で開催されたイベント"FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY EXHIBITION"の一環として再現された。展示では、花畑を含む教会内部の実物大モデルが設置され、来場者はその空間を現実に体験できるようになっていた。

また、教会は間接的に、韓国の歌手IVY(アイビー)の曲『유혹의 소나타(誘惑のソナタ)』のミュージックビデオに関する論争にも登場した。このビデオには、『ファイナルファンタジーVII アドベント チルドレン』におけるティファとロッズの戦闘シーンに酷似した戦闘シーンが含まれており、教会の舞台も再現されていた。この類似性により、スクウェア・エニックスは訴訟を起こし、ビデオはテレビ放送を禁止された。

象徴と暗示

スラムの教会のデザインには、いくつかの象徴的な要素が含まれている。その建築様式は伝統的なキリスト教会を思わせるもので、ベンチが列をなして並び、中央通路があり、ステンドグラス風の窓が設けられている。礼拝堂にあるシンボルは、"I"と"X"の文字を組み合わせたモノグラムのように見え、イエス・キリストを象徴する初期キリスト教の記号を参照している。このシンボルはまた、ローマ時代のキリスト教で使用されたカイロー(記号)、すなわちコンスタンティヌスの十字にも似ている。

教会で咲いている花はおもにユリであり、これは世界各地で文化的および宗教的な意味を持つ。ユリはしばしば愛、純潔、そして復活を象徴し、葬儀では魂が無垢へと戻ることを表す花として用いられる。また、希望や再生のテーマとも結びついている。

生命のない環境で花が咲くという概念は、現実世界の物語からもインスピレーションを受けている可能性がある。たとえば、メキシコにあるグアダルーペの聖母大聖堂の伝説では、季節外れのバラが神のしるしとして咲いたとされており、これはミッドガルの過酷な環境にもかかわらず教会で花が咲いている様子と類似している。