『パルワールド』は模倣ゲー? いいや違うね! 本作“だからこそ”の楽しさがここにある!

不思議な生き物と共生する独自の魅力

ライター /

8.4
評価
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評価項目 評価 ユーザーの評価
建築の自由度の高さ 9.0
アクション性 7.0
ゲームのボリューム感 8.0
サウンド 8.0
キャラクターのかわいさ 10.0
『ARK』ライクな遊び心地でありながら、本作ならではのおもしろさをしっかり内包したオープンワールドサバイバルクラフト。拠点でパルたちと過ごすだけでも楽しく、"拠点建築"の自由度も高い。さまざまなタイトルの要素を混ぜつつも、単体としてクオリティの高いゲームに仕上がっている。

長所

  • パルたちがとにかくかわいい
  • 拠点の賑やかさは、同ジャンルでも随一
  • 広すぎも、狭すぎもしない、ちょうどどいい規模のマップ
  • 開発陣による精力的なアップデート

短所

  • ほかのゲームに似た要素が多い
  • 少々バグが多い(定期的なアップデートにより改善されているが)

でっかい生き物にまたがって移動するのが好きだ。

古くは馬、牛、果てはゾウなんかにも乗っていた人類。そんな歴史のなかで紡いできた、人類としての根源的な欲求があなたにはあるだろうか。

筆者はある。バツグンにある。だから『パルワールド』が大好きだ。

『パルワールド』のゲーム画面

© Pocketpair, Inc.

拠点が楽しい! "いっしょに暮らしている感"が最高のオープンワールドサバイバルクラフト

本作は不思議ないきもの"パル"を捕まえる"パルテイマー"となり、捕獲した"パル"といっしょに旅をしたり、いろんなものを作ったりするゲーム。開発は『クラフトピア』などを制作したポケットベアが行っている。

ジャンルとしては"オープンワールドサバイバルクラフト"……ちょっと長ったらしいが、ようは「オープンワールドでいろんなもの作って遊ぼうぜ!」的なニュアンスだと思ってほしい。

『パルワールド』のゲーム画面。石の壁と木製のカウンターが並ぶ、自分で作った拠点の中で立っている。
© Pocketpair, Inc.

資材を使って拠点を作ったりなど、"プレイヤーのできること"が多いのが本ジャンルの特徴。

『ARK: Survival Evolved(アーク:サバイバル エボルブド)』(以下、『ARK』)が、このジャンルの金字塔ともいえる存在だ。本作は、その『ARK』の影響を色濃く受けたゲームともいえるだろう。

現実世界では会えないような生物"パル"を捕まえ(テイムし)て騎乗できる要素なんかはわかりやすい。このあたりはもろに『ARK』の血という感じがする。

『パルワールド』の強化・育成時のユーザーインターフェース画面
© Pocketpair, Inc.

強化・育成時のユーザーインターフェース画面などはめちゃくちゃ『ARK』。ただ個人的には親しみやすくてありがたいと思っている。

とはいえ、もちろん本作ならではの魅力もある。それは、テイムしたパルといっしょにさまざまな作業を行うことができる、ということ。

……というか、拠点内での必要な行動はすべてパルに任せっきりにすることもできる。鉱石を掘ったり、木材を集めたりといった、いわゆる"ファーム"系の資源を集める行動は、すべてパルにお願いすることができてしまう。

『パルワールド』のゲーム画面。パルが作物に水をあげている。
© Pocketpair, Inc.

作物への水やりもやってくれる。笑顔がかわいいね。

かわいい生き物を働かせることにちょっと申し訳なさはあるものの、個人的にはこの"共同生活"感が狂おしいほどに好きだ。

いままで同ジャンルのゲームをかなり遊んできたが、生き物を捕まえることはできても、ここまで生活……サバイバルの要素に密接な作品はなかったように思える。だいたいはペット扱いだったり、戦闘に呼び出すだけだったり、移動用だったりと、用途が限定されているものになっていた。

『パルワールド』の拠点。多くのパルが待機している。
© Pocketpair, Inc.

バタバタといろんなパルがせわしなく働く拠点。でっかいキャラクターのが多いと画面もにぎやかに。

だが、『パルワールド』は違う。作業内容ごとにパルを割り当てる必要はあるものの、概ね拠点での作業はすべてパルだけで完結できてしまう。他のゲームでは工業的に自動化することが多い部分を、"パル"という存在に置き換えているだけなのだが……それだけで拠点がガヤガヤして、なんだか暮らしが楽しくなる

『パルワールド』のゲーム画面。木を切って、木材を箱にいれるパル。
© Pocketpair, Inc.

木を切って、箱に入れて……みたいな作業も全部"パル"がやってくれる。ほかのゲームだと"伐採場"と"ベルトコンベア"みたいな感じだろうか。

パルたちが健気に働くからこそ、こちらも「パルが快適に過ごせるような環境を作ろう」という思考になっていく。彼らが癒される温泉を作ったり、寝床をいいものにしたり、食事場を整備したり……。

やはり、さまざまな作業に生き物が関わってくるからだろうか。ほかのゲームよりも、そういったインフラの整備にはより気持ちが入ってしまう気がする。労働環境を改善させれば生産性も上がるので、しっかりとゲームとしての利点があるのも嬉しいところ。

"機械による工業化"ではなく"生き物と共生"し拠点を運営する楽しさは、本作における独自の楽しさを生み出している。

『パルワールド』のゲーム画面。パルがお風呂につかっている。
© Pocketpair, Inc.

お風呂に入っているパルたちがめちゃめちゃにかわいい。これを見るためだけに温泉を作りたくなる。

旅が楽しい! 和製アニメ調のグラフィックで楽しむ『ARK』ライクな冒険

もちろん、拠点だけでなく広い世界を冒険するのも本作の醍醐味。広い世界を冒険して、各地にあるいろいろなものを見たり、その土地特有のパルを捕まえに行くのはとても心が躍る体験だ。

そして、やはり冒険にもパルは欠かせない。専用の"サドル"を作成することで、彼らに乗っての冒険が可能だ。システム的には『ARK』ライクとでも言うべきだろうか。

『パルワールド』のゲーム画面。鹿のようなパルにまたがる主人公。

© Pocketpair, Inc.

冒頭にも書いたが、筆者は何かしらの生き物に乗って冒険するのが大好き。『ARK』でティラノサウルスに乗ってリアルな樹海を駆け回るのも最高だったが、『パルワールド』の冒険はまた違った楽しさがある。

なかでも大きな違いはグラフィック。『パルワールド』は日本の企業が作ったゲームということもあり、デザインや色調が日本人である自分にすごく"馴染む"のだ。

さきほど同ジャンルの金字塔が『ARK』である、ということを書いたが、その流れを追ってか、オープンワールドサバイバルクラフトというジャンルではこういったアニメ調のグラフィックというものはあまり見かけない(それこそ同社が手掛ける『クラフトピア』あたりだろうか)。さらにさまざまな生物に騎乗することができるゲーム……となると、恐らく『パルワールド』しかないのではないだろうか。

『パルワールド』のゲームプレイ画面。パルの一匹であるパリピドンに騎乗し、フィールドを歩いている。
© Pocketpair, Inc.

豊富な種類の生き物に騎乗できる、というのは『ARK』と同じ。これは筆者イチオシの"パリピドン"。

なので、「生き物捕まえて乗り回すとか『ARK』と同じじゃーん」とは、一切ならない。むしろ"『ARK』が好きならやるべき"とさえ思う。『ARK』の遊び心地で、(日本人が)慣れ親しんだアニメ調の世界を好きなだけ冒険できるなんて、楽しくないわけがないだろう。

もちろん好みはあると思うが、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』や『ポケットモンスター スカーレット/バイオレット』などのタイトルが好きだった方は、ぜひともいちど体験してみることをおすすめする。

『パルワールド』のゲーム画面

© Pocketpair, Inc.

バトルが楽しい! パルが覚える豊富な"わざ"たち

そしてなにより、彼らはファンタジーの生き物なので火を噴いたり、雷を落としたりする。背に乗ってこういう攻撃を指示するって、ちょっとした憧れがありませんか? 筆者にはありました。

地域に根差した、いわゆる"ネームド(名前付き)"的なデカいパルとの争いもあれば、プレイヤーと同じ"パルテイマー"と戦うことも。もちろん野良のパルもそのへんにうろちょろしているので、気が向けば自分から戦いを挑んでもいい。

『パルワールド』のゲーム画面。ボスのパルにはユニークなふたつ名がついている。
© Pocketpair, Inc.

ボスのパルにはユニークなふたつ名がついている。

『パルワールド』のゲーム画面。ライバルのパルテイマーサヤと、SAYAの相棒パルセレムーン。
© Pocketpair, Inc.

パルテイマーたちは、相棒のパルに乗って勝負を仕掛けてくる。背中に乗るのが、この世界におけるバトルのスタンダードなのだ。

さまざまな"わざ"が飛び交うバトルはド迫力。マルチプレイなんかしていると、敵のエフェクトか味方のエフェクトかわかったもんじゃない。正直(見た目の)バランスとしては大味だと思うが、パルに乗りながら指示を出して、画面には迫力満点のエフェクトが盛りだくさんで……みたいな光景が楽しいので、あまり筆者としては気にしていない。

『パルワールド』のバトルシーン。

© Pocketpair, Inc.

発売当初は、「いろんなゲームのツギハギかよ」と厳しい意見もあった『パルワールド』だが、正直そのおもしろさは唯一無二のものに仕上がっていると、筆者は思う。もちろん各ゲームのシステムを模倣していることは否定しないし、いくつかのパルがデザイン的な問題を抱えているのも事実だろう。

でも、そこだけでこのゲームのことを測った気になってしまうのは、あまりにももったいない気がしてならない。拠点でテイムした生き物と生活する楽しさ。いろんなパルに乗ってファンタジーな世界を冒険する楽しさ。パルとともに戦うアツさ。どれをとっても"このゲーム"だからこその体験になっていると、筆者は感じる。

だから、できれば"模倣ゲー"なんて言わず、本作ならではの魅力を楽しんでみていただけたら幸いだ。あなただけのパルと、思う存分楽しい生活を送ってみてほしい。

『パルワールド』のゲーム画面。主人公とパルが見つめ合っている。
© Pocketpair, Inc.

そしてなにより、パルたちがかわいい。新しいパルたちに出会うのが本当に楽しいゲームだ。

© Pocketpair, Inc.

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