長所
- テンポよく進められるアクションゲーム
- プレイステーションファンが喜ぶ要素が盛りだくさん
- 飽きがこない個性的なステージとギミックの数々
- バランスの取れた難易度
短所
- プレイステーション作品をどれだけプレイしているかで楽しさが変化
『アストロボット』は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)の国内開発スタジオ"Team ASOBI"によって製作された、プレイステーション5専用の3Dアクションゲームだ。
ロボットのアストロを主人公とする『アストロ』シリーズの最新作でもある本作は、プレイステーション5本体にプリインストールされている『ASTRO's PLAYROOM』のシステムをもとに大幅にボリュームアップ。フルプライスゲームにふさわしい遊びごたえのあるゲーム性に仕上がっている。
また、SIEによるファーストパーティータイトルということもあり、歴代プレイステーションに触れてきたプレイヤーにとって、嬉しい&懐かしい要素も盛りだくさん。まさに"お祭りゲー"的な側面もある作品である。
テンポよく飽きがこないステージ探索
本作は、(架空の)銀河を舞台に、アストロを操作してさまざまな惑星(ステージ)を冒険していくアクションゲーム。散り散りになった300体ものボット(仲間)たちを救出しながら、(プレイステーション5のかたちをした)母船を修復するのが目的となっている。おもなアクションはジャンプと攻撃、そして各ステージ限定で"装備&使用"できるアイテムを使った特殊アクションのみと非常にシンプル。超親切設計で操作にもすぐ慣れ、誰でも楽しむことができる敷居の低さとなっている。
いっぽう、冒険することになる星々は、泳ぐことができる常夏の星もあれば巨大な遺跡のなかを探索する星、温泉を楽しめる星など個性豊か。各惑星を巡るだけでも視覚的に十分楽しませてくれるのだが、遺跡では謎解き、温泉ではお湯を使って火を消すなど、その星々にちなんだギミックが数多く用意されており、まったく飽きがこない。次の惑星ではどんなギミックが待ち受けているのだろうかとプレイヤーをワクワクさせてくれる。
また、惑星には多種多様な敵も存在するのだが、(一部のボスなどを除いて)倒し方さえわかれば基本的にはサクサクと進めていけるうえ、やられてもすぐ直前のチェックポイントから再開できる。まさにテンポよくステージ攻略が可能となっている。ただ、アストロ自身は、敵の攻撃やダメージ系のギミックを"一度"でも受けると力尽きてしまうので油断は禁物。難しくはないが簡単すぎない絶妙な難易度と、ほどよい遊び応えが感じられるのも本作の大きな魅力だ。
プレイステーション愛にあふれた要素の数々
プレイヤーはステージを進めていくと同時に、ボット(仲間)たちを探し出し救助しなければならない。可愛らしい見た目の彼らだが、その一部は"VIPボット"と呼ばれ、SIEの各種ゲームをはじめ、『バイオハザード』、『メタルギアソリッド』、『ペルソナ』など、プレイステーションの歴史を彩る名作のキャラクターたちを模したボットが登場する。歴代のプレイステーションでゲームを遊んできたプレイヤーにとってはボット救助の要素も非常に魅力的な要素となっており、遊んだことのある作品のVIPボットと出会うと思わず笑みがこぼれてしまう。
くわえて、一部の惑星は『ゴッド・オブ・ウォー』や『アンチャーテッド』といったSIEタイトルの世界が追体験できる。『ゴッド・オブ・ウォー』が追体験できる惑星では、主人公クレイトスの戦斧"リヴァイアサン"を持つことができ、"オーディンの鴉"を探したりとシリーズをプレイしたことがある人にとっては垂涎ものの遊びが楽しめる。
ほかにも、アストロたちの拠点となる惑星には"ポケットステーション"(のかたちをしたコンピュータのようなもの?)が存在し、救助したVIPボットのデータを確認することが可能。アストロ自身もしばらく放置していると小型のプレイステーション"PS one"で遊び始める仕草をしたりと、歴代のプレイステーションやその周辺機器などを持っている(知っている)プレイヤーほど楽しめる、"プレイステーションファン"にとっては夢のような演出となっている。
プレイするほど楽しさが増すプレイステーションファン必携の作品
テンポよく飽きがこないステージ構成に、プレイステーションファンの心をガッチリと掴んでで離さない要素の数々。これだけでも遊びごたえバッチリの『アストロボット』だが、本作はこれまで述べてきたこと以外にも至るところにプレイヤーを楽しませてくれる仕掛けが存在する。
ステージ選択画面ひとつとっても、気になるところを調べてみると高難易度の隠しステージが現れたり、収集アイテムであるジグソーパズルのピースが手に入るなど、遊び心に溢れている。
また、一度クリアしたステージであっても、見つけきれなかったボットや隠しギミックを求めて何度も挑戦したくなるような構成になっており、テンポの良さも相まって、ついつい時間を忘れてプレイに熱中してしまうのだ。
ほかにも、先述したジグソーパズルのピースを集めることで、アストロの外見を変えられるようになるなど、さまざまな機能が解放されていく。ゲーム内で集めたコインを使用するガチャからは、VIPボットにちなんだ装飾アイテムが入手可能で、たとえばダンボールを入手するとソリッド・スネークの姿をしたVIPボットがそれを使用したりもする。拠点内でダンボールに隠れながらまわりの様子を窺うようになアクションをとるようになったりと、プレイするたびに楽しさが増していくのだ。
ちなみに、筆者はプレイステーション2から本格的にゲームをプレイし始めたのだが、それでも存分に本作を楽しむことができた。なかには、見覚えのない(キャラクターの)VIPボットも登場したが、そこから自分がプレイしたことがないタイトルを知るようにもなった。
まだ見ぬ名作と出会うきっかけを作ってくれる、という意味でも『アストロボット』はプレイしがいのあるゲームだと言えよう。
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